1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10672103
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Research Institution | NATIONAL INSTITUTE OF PUBLIC HEALTH |
Principal Investigator |
宮澤 宏 国立公衆衛生院, 衛生薬学部, 室長 (40183967)
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Keywords | 遺伝子治療 / ベクター / 人工染色体 / 複製開始点 / テロメア配列 |
Research Abstract |
本研究の目的は、最近開始された遺伝子治療のより安全なベクター系の開発をすることである。ベクターとして、さまざまな応用が考慮されるミニ染色体(人工染色体)を選択し、個体本来が持っている複製単位の中に治療に用いる遺伝子を組み込めるものを構築することが目標である。 前年度に得られた研究結果から、ハムスターDHFR遺伝子下流のOBR-1という複製開始点を含む領域と両末端にテロメア配列を構成する繰り返しTTAGGGを結合させた約18kbのプラスミドでは、人工染色体としては大きさが足りないことが示唆されたため、より大きな分子であるP1ファージに複製開始点およびテロメア配列を組み込んだ分子を構築することを今年度は集中して行った。 具体的には、ヒト21番染色体中の長腕側22.1領域のデュシェン型筋萎縮症の病原遺伝子座近傍約200kbのDNAを組み込んだいくつかのP1ファージに、テロメア配列を構成する繰り返しTTAGGGを結合させることを試みた。ヒトをはじめとする高等真核細胞では20-40kb間隔で複製開始点が存在しているため、これらのP1ファージには複製開始点が当然含まれているものと考えられる。また、細胞核中での安定性を増加させるため約300塩基対のテロメア配列を付加させた。安定性をさらに増加させる目的で、より長いテロメア配列の付加を試みているがまだ成功していない。現在、得られている人工染色体をヒト培養細胞に導入して、その複製の頻度及び安定性に関して検討中である。
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