1998 Fiscal Year Annual Research Report
環境に応答する亜鉛の活性酸素による細胞死制御機能の解析
Project/Area Number |
10672110
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
佐藤 政男 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (20045743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永沼 章 東北大学, 薬学部, 教授 (80155952)
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Keywords | メタロチオネイン / 亜鉛 / 腫瘍壊死因子 / アポトーシス / チトクロームC |
Research Abstract |
本年度はまず細胞培養系の確立を行い増殖速度は正常マウス肝由来伊東細胞及びメタロチオネイン遺伝子欠損マウス肝由来細胞との間に差はなく比較実験に使用可能であった。カドミウムによる細胞死の程度はメタロチオネイン遺伝子欠損マウス肝由来細胞が正常マウス肝由来伊東細胞より大きく細胞の性質を維持していることが確認された。 次いで亜鉛イオン、腫瘍壊死因子自体が細胞に対する影響を検討すると、亜鉛は正常マウス肝由来伊東細胞及びメタロチオネイン遺伝子欠損マウス肝由来細胞の増殖にたいする影響に差は認められなかった。腫瘍壊死因子(Tumor necrosis factor-α)(TNF)は正常マウス肝伊東細胞及びメタロチオネイン遺伝子欠損マウス肝由来細胞の増殖を抑制するが、その程度は予想より低かった。これは用いた細胞が腫瘍細胞でないためと考えられた。その程度は両細胞群共に同程度であった。 腫瘍壊死因子が誘導する細胞死に対して亜鉛が促進作用を示す可能性をさぐるため亜鉛と腫瘍壊死因子を共存させると両細胞群共に細胞死はさらに進行した。メタロチオネイン遺伝子欠損マウス肝由来細胞の方が大きく、この細胞では相乗効果がみられた。 亜鉛により修飾される細胞死はアポトーシスである可能性を検討するためアポトーシス反応であるミトコンドリアから遊離されるチトクロームCをウエタンブロッテング法で検出した。亜鉛、TNFがチトクロームCを遊離させる能力をメタロチオネイン遺伝子欠損細胞及び正常マウス肝由来細胞で検討した。メタロチオネイン遺伝子欠損細胞で亜鉛と腫瘍壊死因子の共存でより大きなチトクロームC遊離が検出された。今後アポトーシスの系の確証と活性酸素関与等を検討する。
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