1998 Fiscal Year Annual Research Report
機械的刺激(重力負荷)環境下における骨代謝変動と薬物の作用
Project/Area Number |
10672112
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
川島 光太郎 帝京大学, 薬学部, 教授 (20124993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 洋一 帝京大学, 薬学部, 助手 (50286978)
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Keywords | 機械的刺激 / 重力負荷 / 骨芽細胞 / 骨粗鬆症治療薬 / アルカリホスファターゼ / オステオカルシン |
Research Abstract |
研究代表者らは、重力負荷は骨形成を担当する骨芽細胞を活性化(アルカリホスファターゼ活性上昇、オステオカルシン合成増加、コラーゲン合成増加など)することを示してきた。この事実は、重力負荷という機械的刺激が骨組織の形成を促進することを示している。骨粗鬆症は骨を分解する過程(骨吸収)が、骨形成を上回り、全体的に骨が薄く脆くなる疾患である。しかし、この疾患に著効のある薬物はいまだに見いだされていない。したがって、機械的刺激が薬物の効果を増大させることができるなら、骨粗鬆症の治療に新しい視点を持ち込むことになる。 本年度は,薬物の作用が重力負荷により増強されるか否かについて主に検討した。植物由来の卵胞ホルモンであるクメステロールの類縁体のKCA-098は骨芽細胞のアルカリホスファターゼ活性を促進することが知られているが、その作用は重力負荷により相加的に増加した。その他にもビタミンD3によるオステオカルシンの合成、副甲状腺ホルモン(PTH)によるcAMP上昇作用にも相加作用が見られた。この結果は、薬物処理に際し機械的刺激を同時に加えることにより、その作用が増強されることを示しており、治療法への応用が期待される。今後はその他の薬物と機械的刺激との協同作用についてさらに検討し、またその作用機序についても明らかにしていく。そのためにも当初目的としていて、いまだに明確な結果のでていない重力負荷で変動する細胞内情報伝達系についても同時に追求していく。
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