1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトにおけるPCB代謝様式および残留性代謝物の体内動態の解明
Project/Area Number |
10672116
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Research Institution | Daiichi College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
原口 浩一 第一薬科大学, 薬学部, 助教授 (00258500)
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Keywords | PCB / メチルスルホン代謝物 / 水酸化代謝物 / ヒト / 野生動物 / 体内動態 |
Research Abstract |
ヒトを含む野生動物中のPCBの残留性代謝物の分布、実験動物におけるPCB代謝物の挙動及び生体作用に関して、次のような知見が得られた。 1 カネクロール500(PCB混合物をラット、ハムスター、モルモットに投与した場合、代謝能はモルモット>ラット>ハムスターの順で大きく異なった。肝臓中の未変化体及びメチルスルホン体、血液中の水酸化体の分布、残留についてはIUPAC no.PCB99、PCB118、PCB132で大きな種差が見られた。また、フェノバルビタール及びメチルコラントレン前処理した場合の代謝物の肝残留比についても種差が見られた。 2 ヒトの血液、アザラシ・イルカの肝臓中のPCB及び残留性代謝物の分布比を調べた結果、MeS0_2-PCB/PCBの残留比は、アザラシで1/10、ヒト及びイルカで1/ 100を示した。ヒト血液中の水酸化体はPCBの約1/100レベルで、約10種以上の構造が推定された。 3 Coplanar-PCB(PCB126)のラットにおける代謝実験で、血液中では水酸化体が母化合物より高濃度で残留した。その構造の特徴は4-OH-3,5-dichlorophenyl骨格を有することが分かった。 4 ヒトに残留しているPCBメチルスルホン代謝物9種をラットへ投与すると、血液中の甲状腺ホルモン(T_3,T_4)レベルの変動が見られた。T_4レベルの低下は甲状腺刺激ホルモンの増加をもたらした。この結果、PCBメチルスルホン体は内分泌かく乱作用があることが分かった。 以上の結果から、ヒトにおけるPCBの代謝、特に残留性代謝物の分布と生物活性を追及するための基礎データが得られた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kato,Y.: "Reduction of serum thyroxine concentrations by methylsulfonyl metabolites of tetra-,penta- and hexachlorinated biphenyls in male Sprague-dawley rats"Chemosphere. 40. 1233-1240 (2000)
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[Publications] Haraguchi,K.: "Comparative metabolism of polychlorinated biphenyls(Kanechlor-500)in rats,hamsters and guinea pigs"Organohalogen Compounds. 42. 177-180 (1999)
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[Publications] Kato,Y.: "Induction of hapatic microsomal UDP-glucuronosyltransferase by methylsulfonyl metabolites of polychlorinated biphenyl congeners in rats"Organohalogen Compounds. 42. 337-340 (1999)
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[Publications] Koga,N.: "Metabolism of tetrachlorobiphneyls by Chinese hamster liver microsomes"Organohalogen Compounds. 42. 181-184 (1999)
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[Publications] Haraguchi,K.: "Metabolism of 3,3',4,4',5-penta-and 2,2',3,3',4,4'-hexachlorobiphenyl"Fukuoka Acta Med.. 90・5. 210-219 (1999)