1998 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン類の毒性発現に係る新規の転写調節因子の同定
Project/Area Number |
10672117
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
青木 康展 国立環境研究所, 環境健康部・病態機構研究室, 室長 (20159297)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今川 正良 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (20136823)
松本 理 国立環境研究所, 環境健康部・病態機構研究室, 主任研究員 (60132867)
|
Keywords | コプラナーPCB / 33'44'5-pemtachlorobiphenyl / pi型glutathione S-transferase / ラット肝実質細胞中 / CATアッセイ法 / GPEI / Phorbol ester responsive element / antioxidant responsive element |
Research Abstract |
最も毒性の強いコプラナーPCB同族体である33'44'5-pemtachlorobiphenyl(PenCB)はcytochrome P450-IAl(CYP-IAl)と同様にpi型glutathione S-transferase(GSTPl)を初代培養したラット肝実質細胞中に特異的に誘導する。しかし、GSTPl遺伝子の5'上流域にはAhレセプターの結合域であるxenobiotic responsive elementは存在しない。我々はCATアッセイ法を利用して、GSTPl enhancer element(GPEI)と名付けられたエンハンサー領域がラット肝実質細胞におけるPenCBによるGSTPl遺伝子発現の促進に必要であることを明らかにした。GPEI領域内には2組のphorbol ester responsive element(TRE)様の塩基配列が対称に存在し、その塩基配列はantioxidant responsive elementに類似している。PenCBにより活性化される新規のシグナル伝達系がGPEI領域を介したGSTPl遺伝子の発現に関与していることが示唆された。そこで、シグナル伝達機構を明らかにするために、GPEI領域に結合する転写因子を同定する事とした。その予備試験として、PenCB処理あるいは対照の初代培養ラット肝実質細胞より核抽出液を調製し、32Pで放射標識した合成GPEIプローブを用いてゲルシフトアッセイを行った。その結果、1本のシフトバンドが検出され、このバンドの濃さがPenCB処理細胞の核抽出液では増強されていた。PenCBによる転写促進活性が失われた変異GPEI領域をゲルシフトアツセイのプローブに用いた場合にはシフトバンドは検出されず、シフトバンドは特異的なGPEI領域への因子の結合を反映している、ものと考えられた。現在、共鳴プラズモン法を利用して、GPEI領域への因子の結合の解析を進めている。
|
Research Products
(1 results)