1998 Fiscal Year Annual Research Report
形質転換実験系における遺伝子発現変化の解析による発癌促進物質の作用機序の研究
Project/Area Number |
10672118
|
Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
酒井 綾子 国立医薬品食品衛生研究所, 衛生微生物部, 主任研究官 (20153835)
|
Keywords | 発癌プロモーション / 遺伝子発現 / DD法 / TPA / オカダ酸 / オルトバナジン酸塩 / 蛍光イメージアナライザー |
Research Abstract |
化学物質による発癌促進の機序を明らかにするため、発癌プロモーターによって発現が変化する遺伝子のうちから、癌の進展に関与している遺伝子を探し出すことを目的としている。2段階発癌のin vitroモデルとしてBALB/3T3細胞による2段階形質転換試験を、発癌プロモーターとしてTPA、オカダ酸、オルトバナジン酸塩を、遺伝子発現変化の可視化手法としてmRNA・ディファレンシャル・ディスプレイ(DD)法を用い、プロモーターに共通する遺伝子発現変化を捕らえる。 1.DD法適用にあたって、プロモーション作用の強さが同程度になる各発癌プロモーターの濃度を求める必要があった。2段階形質転換試験を実施し、TPA、オカダ酸、オルトバナジン酸塩のプロモーション作用についての用量反応曲線を作成し、作用濃度をそれぞれ100、15、1800ng/mlと決定した。2.DD条件を検討した。mRNAの発現差を定量的に取り扱うには、総RNA量を一定にして逆転写反応を行う方法が優れていた。PCR後のcDNA断片の検出には、蛍光色素ラベル法と染色法を併用し、蛍光色素の励起をレーザー光で行う蛍光イメージアナライザーを用いるのが利便性、感度、分解能で優れてた。mRNAの全体的な発現変化の様子から、RNAの採取時期を発癌プロモーターによる処理を開始する前、開始24時間、3、7、14日後とした。 3.50組のプライマーについてDD法を終えた。プロモーターに共通して対照と差のある発現を示すmRNAのcDNA断片2つを確認している。来年度は、この2つのcDNA断片のシークエンス、ホモロジー調査等を行うとともに、より発現差の大きいmRNAを捕らえるため、プライマーの数を増やしてDD法を実施する。4.タンパク質燐酸化以外の発癌プロモーションに関わる要因として細胞内カルシウム濃度の上昇について検討した。
|
Research Products
(1 results)