1999 Fiscal Year Annual Research Report
形質転換実験系における遺伝子発現変化の解析による発癌促進物質の作用機序の研究
Project/Area Number |
10672118
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
酒井 綾子 国立医薬品食品衛生研究所, 衛生微生物部, 主任研究官 (20153835)
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Keywords | 発癌プロモーター / 遺伝子発現 / DD法 / TPA / オカダ酸 / オルトバナジン酸塩 / BALB / 3T3細胞 / 形質転換 |
Research Abstract |
化学物質による発癌促進の機序を明らかにするため、発癌プロモーターによって発現が変化する遺伝子のうちから、癌の進展に関与している遺伝子を探し出すことを目的としている。 BALB/3T3細胞の2段階形質転換を2段階発癌のin vitroモデルとして用いた。細胞にTPA、オカダ酸、オルトバナジン酸塩をプロモーターとして作用させ、作用開始から0、8、24時間、3、7、8、14日後にRNAを分離し、mRNA・ディファレンシャル・ディスプレイ(DD)法によって発現しているmRNAを可視化した.3つのプロモーターに共通した発現変化を示す遺伝子のcDNA断片2つ、G09とC05を分離した。G09は、3種のプロモーターの作用により共通して発現が増加した。G09の塩基配列は、核タンパク質NP95のcDNA(全長3488bp)の2198-2708と完全に一致した。NP95は、増殖に関連するネズミの核タンパク質として見いだされ、ネズミlymphoma細胞株では恒常的に高発現していることが報告されている。C05は、プロモーター共通に発現の低下が認められるもので、297bpであった。GenBank+EMBL+DDBJ+PDBの塩基配列データベースをEST Divisionsも含めてBLAST検索したが、C05とホモロジーのある塩基配列は見つかっていない。これら2つの遺伝子の差発現を、特異的プライマーによるPCR並びにノーザンブロットによって確認した。BALB/3T3細胞2段階形質転換実験系で、3種のプロモーターに共通した発現変化を示す複数の遺伝子が見いだされたことは、これら3種の物質による形質転換のプロモーションには共通の機序が存在する可能性を示唆している。
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Research Products
(1 results)