1998 Fiscal Year Annual Research Report
鹿児島県北西部地震と出水針原地区土石流災害後の外傷後ストレス障害に関する研究
Project/Area Number |
10672129
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
福迫 博 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (60228880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝川 守国 鹿児島大学, 医学部, 教授 (70041423)
久留 一郎 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (40024004)
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Keywords | 外傷後ストレス障害 / 土石流災害 / 地震 / 細胞性免疫 |
Research Abstract |
1. 地震によるPTSD 北西部地震による影響を約700名の児童および800名の成人を対象として調査した。児童では被災3カ月後に10.2%であったが,6カ月後には4.5%,一年後には3.1%に減少した。被災6カ月後では,成人における出現率は6.5%と児童より高く,特に,30歳代および50歳代の女性で高率であった。 2. 土石流災害によるPTSD 被災者108名を対象として調査を行った。被災1カ月後は22.7%,3カ月後は28.8%とピークに達し,6カ月後には19.7%,1年後には20.4%となった。壮年期および初老期の者における発現率が高く,また,地震と比較して発現率が3〜5倍であった。 3. 土石流災害による細胞性免疫能 上記対象者のうち同意の得られた,免疫能に対する明らかな影響のある基礎疾患のない16名について免疫能を調べた。被災3カ月後の調査では,16名中3名のNK細胞活性が正常の-2SD以下であった。また,CD4/CD8比が低下している者も3名みられた。これは,一般人口に比べて明らかに高率であり,災害後のストレスにより細胞性免疫能が低下した結果と考えられる。現在追跡調査を行っている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 久留一郎他: "鹿児島県北西部地震に関する心理学的研究(IV)〜被災3ヵ月後の児童生徒の外傷後ストレス障害(PTSD)に関する調査分析〜" 平成9年度教育研究学内特別経費:「1997年鹿児島県北西部地震の総合的調査研究」報告書. 231-250 (1998)
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[Publications] 久留一郎: "出水市土石流災害に関する心理学的研究〜被災1ヵ月後・3ヵ月後の外傷後ストレス障害(PTSD)に関する調査分析〜" 平成9年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(1))研究成果報告書:「1997年7月梅雨前線停滞に伴う西日本の豪雨災害に関する調査研究」. 139-152 (1998)
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[Publications] 久留一郎他: "鹿児島県北西部地震に関する心理学的研究(I)〜被災地区・児童生徒の外傷後ストレス障害(PTSD)に関する調査分析〜" 小児保健かごしま. 第11号. 31-34 (1998)
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[Publications] 久留一郎: "出水市土石流災害に関する心理学的研究〜被災1ヵ月後・3ヵ月・6ヵ月後の外傷後ストレス障害(PTSD)に関する調査分析〜" 災害科学研究通信. 58巻. 14-27 (1998)
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[Publications] 久留一郎他: "鹿児島県北西部地震における災害の影響と産業保健(メンタルヘルス)に関する調査研究報告書" 労働福祉事業団鹿児島産業保健推進センター, 40 (1998)