1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10672131
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
鈴木 荘太郎 東邦大学, 医学部, 教授 (30102841)
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Keywords | 食道表在癌 / 早期胃癌 / 内視鏡粘膜切除術(EMR) / 平均在院日数 / 併存症 |
Research Abstract |
T大学附属病院の内視鏡センターにおいて、過去5年間に食道表在癌と早期胃癌を対象とした内視鏡切除術(Endoscopic Mucosal Resection;EMR)における、症例の年次推移、および患者背景因子と医療効率(平均在院日数、治療点数)に関して検討した。 同期間における食道癌と胃癌の手術例は同等ないし減少傾向にあったが、EMR例は共に5年間で10倍に増加した。EMR例の背景因子では、食道表在癌65例で男女比約30:1、平均65.9±9.7歳、早期胃癌60例は男女比3.6:1、平均67.6±9.7歳であった。併存する疾患の検討では、前者で40.0%、後者で46.7%であり、循環器系、脳循環系、消化器系および他臓器癌の併存が主なものであった。平均在院日数は年齢に比例して長期化傾向があり、併存症の有無との関係では、食道で48.2±29.8日対11.5±5.2日と約1/4、胃で68.2±31.0日対35.1±13.7日と約1/2と、有意にEMR例で短縮していた。治療対象の病変の形態では、ともに隆起型で平均在院日数は8.5±2.5日、32.7±13 0日と最短であった。 1996年4月より、診療報酬制度上では食道、胃の早期癌に対するEMRは7,000点と設定されているが、同じ例における外科手術点数は25,000〜30,000点と約4倍である。既に報告したが、消化管出血例の治療法と平均在院日数および医療費の比較検討により、内視鏡止血術は外科手術より平均在院日数および、総入院医療費が半減していた。EMR例ではさらに、外科手術より診療報酬点数は低く、平均在院日数の短縮が可能で、重症併存症例も適応となり、医療効率が顕著であった。今後、消化器内視鏡の専門領域における医療効率の向上を客観的に評価しうる基準の作成が必要であり、平均在院日数に対して、年齢、併存疾患の有無、病変形態と個数、治療回数などが影響する要因として指摘し得た。なお、この内容は、日本消化器内視鏡学会雑誌に投稿中である。
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