1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10672137
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 裕之 九州大学, 遺伝情報実験施設, 助教授 (30183825)
|
Keywords | ゲノム刷り込み / ゲノムドメイン / 境界配列 / インスレーター / トランスジェニックマウス / エンハンサー |
Research Abstract |
ゲノム刷り込みを受ける遺伝子はゲノム上でクラスターを作り、そこでは複数の遺伝子に及ぶ制御機構が働いている。本研究では刷り込みを受ける遺伝子のクラスターをゲノムドメインのモデルとして捉え、とくにドメインの境界を決める機構に的を絞って研究している。平成10年度は、刷り込みドメインと通常のドメインの境界があるマウスH19/L23mrp遺伝子間領域を対象として、以下の成果を得た。 (i)まず「境界配列」や「インスレータ(遮断配)」の存在をトランスジェニックマウスで検定するため、検定用ベクターを構築した。すなわちH19遺伝子、lgf2遺伝子、L23mrp遺伝子のプロモーター下にlacZレポーター遺伝子を接続してマウスに導入したところ、H19やlgf2のプロモーターがエンハンサー依存的に発現することが分かり、検定用ベクターとして有用であることが確かめられた。(ii)マウスH19/L23mrp遺伝子間領域に刷り込みを受けない転写単位Nctc1が存在することを見つけ、その結果「境界」はH19/Nctc1間のおよそ20kbの中にあることが分かった。(iii)このマウス領域に対応するヒト由来のコスミドクローンを単離し、その全塩基配列およそ40kbを決定した。得られた配列をマウスの配列を比較したところ、H19/L23mrp遺伝子間領域に合計10箇所の保存された配列があることが分かり、そのうち7つが組織特異的エンハンサー活性をもつことが明らかになった。残りの3つの保存配列のいずれかが「境界配列」または「インスレータ(遮断配列)」としての機能をもつ可能性があり、上記ベクターを用いて解析中である。
|
-
[Publications] Hatano,N.: "Enhancer-dependent, locus-wide regulation of the imprinted mouse insulin-like growth factor II gene" J. Biochem.123. 984-991 (1998)
-
[Publications] Shibata,H.: "A methylation imprint mark in the imprinted gene Grf1/Cdc25^<Mm> locus shares a common feature with the U2afbp-rs gene" Genomics. 49. 30-37 (1998)
-
[Publications] Ishihara,K.: "Sequence of a 42-kb mouse region containing the imprinted H19 locus" Mamm. Genome. 9. 775-777 (1998)
-
[Publications] Kato,R.: "Quick identification and localization of CpG islands in large genomic fragments by partial digestion with HpaII and HbaI" DNA Res.5. 287-295 (1998)