1998 Fiscal Year Annual Research Report
薬物治療におけるCYP2C19遺伝子多型の臨床的有用性の検討
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10672149
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
大橋 京一 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20137714)
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Keywords | CYP2C19 / プロトンポンプ阻害薬 / omeprazole / Helicobacter pylori / 胃内pH / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
本研究はCYP2C19の遺伝子多型情報がプロトンポンプ阻害薬(PPI)omeprazole(OPZ)の治療効果を予測し、個別的な投与計画を確立することが可能か検討する目的で行った。 研究1:PCR-法によりCYP2C19のgenotypingを行った16名の健常志願者を対象とした。OPZ 20mgあるいはplaceboを早朝空腹時に投与し、24時間胃内pHモニタリングにより胃酸分泌抑制作用を検討した。また、血中OPZ及びその代謝物濃度、血清gastrin値についそ経時的に測定した。胃内PHはOPZ投与後PM群で、著しい上昇が認められ、hetEM群、homEM群の順に胃酸分泌抑制作用を認めた。血清gastrin値も同様にPM詳で有意に上昇した。OPZの血中濃度はPM群、hetEM群、homEM群の順に高値を示し、血中OPZ濃度一時間曲線下面積(AUC)とOPZ投与後の平均胃内pH値とは有意の相関を示した。OPZの薬物動態及び薬力学は遺伝子多型に依存することが認められた。 研究2:H.pylori除菌に対するCYP2C19遺伝子多型の有用性について検討した。対象はH.pylori陽性でH.pylori除菌が治療上有効であると考えられた上部消化管潰瘍患者62名(PM群=9名、hetEM群=25名、homEM群=28名)である。OPZ 20mgを胃潰瘍では8週間にわたり、十二指腸潰瘍では6週間にわたり投与し、同時にamoxicillin 2000mg/日を2週間にわたり投与した。治療終了後に尿素呼気試験等によりH.pyloriの除菌判定を行った。結果はPM群では100%の除菌率に達したが、hetEM群では60.0%、homEM群では28.6%とこれら3群間に有意の差をみとめた。この結果はPM群ではOPZの血中濃度の上昇に件い、著明な胃酸分泌抑制作用によると考えられた。 以上より、CYP2CI9遺伝子多型の情報は個別的なH.pyloriの除菌療法の投与計画に有用であると考えられる。
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[Publications] 大橋京一: "CYP2C19遺伝的多型によるomeprazoleの薬物動態と薬力学" 臨床薬理. 29(1,2). 343-344 (1998)
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[Publications] T.Furuta: "Effectof genetic differences in omeprazole metabolism on cure rates for Helicobacter pylori infection and peptic ulcer" Ann.Intem.Med.129(12). 1027-1030 (1998)
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[Publications] T.Furuta: "CYP2C19 genotype status and effect of omeprazole on intragastric pH in humans" Clin.Pharmacol.Ther.(印刷中).