1999 Fiscal Year Annual Research Report
がん性疼痛緩解におけるモルヒネの適正使用と耐性・依存不形成機構の解明
Project/Area Number |
10672152
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Research Institution | NAGASAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高橋 正克 長崎大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (90112383)
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Keywords | モルヒネ / 耐性 / 鎮痛 / 持続性疼痛 / ホルマリン試験法 / 一過性疼痛 / オピオイド / U-50,488H |
Research Abstract |
モルヒネの連用により鎮痛効果に対する耐性は速やかに形成されるが,一方でがん性疼痛患者に対する連用では耐性が形成されにくいとの臨床報告もなされている。本研究は,これらの相違を研究する目的で,これまでの動物実験での成績が一過性疼痛刺激に対する抑制で検討されたものである一方,がん性疼痛は持続性の痛みであることから,「痛みの種類の違い」に着目し,一過性疼痛刺激を与えるテールピンチ(TP)法と持続性疼痛刺激を与えるホルマリン(FL)法によって,モルヒネ連日投与による鎮痛効果の変容を,オピオイドの作用部位である中枢上位と脊髄に分けて検討した。また,κ-アゴニストであるU-50,488Hについても同様に行った。TP法ではモルヒネ,U-50,488H両薬物において皮下,脳室内,脊髄腔内いずれの投与経路においても経日的な鎮痛効果の減弱,すなわち耐性の形成がみられた。一方,FL法では両薬物とも脊髄腔内連日投与で耐性形成が認められたものの,皮下および脳室内投与では耐性は形成されなかった。 以上,一過性疼痛には速やかにモルヒネは耐性を形成するが,持続疼痛に対してはモルヒネ耐性は形成されにくいことが分かった。この成績は,がん性疼痛患者におけるモルヒネ耐性不形成機構を支持するものと考えられる。また,持続疼痛の抑制作用には,μ受容体だけでなく,κ受容体を介して発現する鎮痛効果にも耐性が形成されないことが示された。さらに,一過性疼痛抑制作用におけるこれら薬物の耐性形成には中枢上位,脊髄両部位の関与が示唆されるが,持続疼痛に対しては皮下投与のほか,脳室内投与で耐性が形成されなかったことから,この持続疼痛における耐性不形成機構には,中枢上位の関与が大きいことも示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masakatsu Takahashi: "Characterization of socio-psychologicol stress-induced antinociception in the formalin test in mice"Jpn.J.Pharmacol.. 79(1). 83-87 (1999)
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[Publications] Hiroko Fukunaga: "Effects of Tyr-MlF-l on stress-induced analgesia and the blockade of development of morphine tolerance tolerance by stress in mice"Jpn.J.Pharmacol. 79(2). 231-235 (1999)