1998 Fiscal Year Annual Research Report
覚せい剤およびコカイン依存性に対するコリン受容体拮抗薬の影響
Project/Area Number |
10672166
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
霜里 和朗 川崎医科大学, 医学部, 助手 (60154316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 滋雄 広島大学, 歯学部, 助教授 (80177873)
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Keywords | メタンフェタミン / コカイン / 報酬効果 / 移所運動促進効果 / 抗コリン薬 / ドーパミントランスポーター |
Research Abstract |
ラットのドーパミン(DA)・トランスポーターを発現させたCOS細胞を用い、抗コリン薬トリヘキシフェニディル(THP)およびベンツトロビン(BNZ)の、[^3H]DA再取り込み阻害活性、および[^3H]コカインアナログ(-)-2β-carbomethoxy-3β-(4-fluorophenyl)tropan(CFT)結合部位に対する親和性を調べた。BNZはDA再取り込みとCH結合に対して同程度のKi値を示した。THPはコカイン結合部位に対する高い親和性を示すにもかかわらず、DA再取り込み阻害活性が低いことがわかった。この結果に基づき、コカインおよびメタンフェタミン(MAP)の依存性に対するTHPとBNZの影響をスコポラミン(SCP)と比較した。依存性の指標はマウスによるconditionedplace preference(CPP)活性を用いた。THP自身は弱いCPH頃向を示した。またTHPはコカインによるCPPには影響を与えなかったが、MAPによるCPPを用量依存的に抑制した。BNZはそれ自体がCPP活性を示したが、コカインあるいはMAPによるCPPに対しては増強効果は認められなかった。一方、scpはそれ自体CPP活性を示さなかったし、コカインあるいはMAPによるCPPにも影響を与えなかった。 さらにコカインおよびMAPによる移所運動活性に対する、抗コリン薬の影響を調べた。いずれの抗コリン薬も中枢興奮薬による移所運動促進の急性効果を増強した。BNZおよびSCPの増強効果は反復投与による耐性が認められたが、THPのそれは持続性であった。 以上の結果は、抗コリン薬のTHPが、そのDAトランスポーターに対する効果から期待されたコカインではなく、MAPの報酬効果を抑制することを示している。
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