1998 Fiscal Year Annual Research Report
パキマ酸が示す血糖降下作用の機序解明とインスリン非依存型糖尿病薬の開発
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10672169
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
佐藤 眞友美 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 化学療法研究部門, 研究員 (50124459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢島 由紀子 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 遺伝情報研究部門, 研究員 (60090114)
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Keywords | インスリン非依存型糖尿病薬 / トリテルペン / 分化 / 脂肪細胞 / リガンド依存性転写制御因子 |
Research Abstract |
PPARγ(peroxisome proliferatoractivated receptor γ)は、核内受容体スーパーファミリーに属するリガンド依存性転写制御因子で、脂肪細胞で強く発現しており脂肪細胞分化のマスターレギュレーターである。更に、他の細胞においても、脂質代謝、抗炎症作用などの重要な機能をもつことが解明されつつある。PPARγ活性化能と脂肪細胞の分化誘導能及び血糖降下作用は相関するので、前脂肪細胞の分化誘導能を指標に生薬を探索した結果、漢方薬の構成生薬として頻用されている茯苓(ブクリョウ)から単離したトリテルペンに分化誘導能があることをみいだした。この茯苓から単離したトリテルペンは、ラノスタン骨格をもち最近臨床応用され始めたチアゾリジン系のインスリン抵抗性改善薬とは構造が異なっている。これら8種類のトリテルペンのうち、パキマ酸、デヒドロトラメテノール酸、ポリポレン酸の順に10 μMという低濃度でマウス前脂肪細胞ST13の脂肪細胞への分化を誘導した。さらにこれらのトリテルペンはPPAR γを活性化した。またインスリン非依存性糖尿病モデルマウス(db/db)への経口投与では、血糖値を下げる効果が観察され、耐糖能テストの結果よりインスリン抵抗性改善作用を有することが明らかになった。 以上の実験結果より、茯苓(ブクリョウ)中のトリテルペンは、インスリン抵抗性改善作用を持つ事が明らかになり、新しいインスリン非依存型糖尿病薬の開発につながる発見と思われる。
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