1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10672173
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小澤 哲夫 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (80262525)
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Keywords | アンチトロンビン欠乏症 / 変異導入 / 遺伝子発現 / mRNA |
Research Abstract |
代表的な先天性血栓性素因であるアンチトロンビン(AT)欠乏症の発症機序を解明するため,研究者が発見したtype IAT欠乏症であるAT Morioka(C95R)の変異導入・発現実験を行った。 (1)全長ヒトATcDNAにsite-directed mutagenesis法によりC95R変異を導入しCOS-7細胞に発現させた。RT-PCR法による解析では野性型および変異型cDNAともにmRNAに転写されることが確認された。Western blot法による解析では正常型ATは培養液中に分泌されるが,変異ATは分泌されないことが確認された。 (2)一方,患者(heterozygote)の末梢血リンパ球に異所性に発現するmRNAをRT-PCR法で解析したところ野性型mRNAのみ検出され,変異mRNAは検出されなかった。(3)以上より,培養細胞内ではcDNAから翻訳された変異AT分子は細胞内輸送から分泌にいたる過程に障害が起こると推定されるが,実際の生体内ではmRNAの不安定性などの他の原因によりAT欠乏を生ずる可能性が考えられた。(4)現在,CHO細胞を用いて安定発現株を作製中であり,樹立され次第パルスチェイス法や共沈する分子シャペロンなどのより詳細な解析を行う予定である。また,mini-geneを用いて変異遺伝子の転写過程に異常が認められないかを検討する予定である。(5)AT Morioka以外の変異についても同様の検討を計画している。
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