1998 Fiscal Year Annual Research Report
リソソーム病の発症メカニズムの解明ならびに新規治療法開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
10672178
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
奥宮 敏可 高知医科大学, 医学部, 助手 (50284435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜庭 均 東京都臨床医学総合研究所, 臨床遺伝学研究部門, 室長 (60114493)
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Keywords | lysosomal storage disease / Fabry disease / GM_1-gangliosidosis / Morquio disease / α-galactosidase / β-galactosidase / gene mutation / substrate analogue |
Research Abstract |
1. 各種変異α-ガラクトシダーゼ発現系の構築 ファブリー病患者由来の変異α-ガラクトシダーゼ(α-Gal)の細胞内動態を解析するため、重症型、軽症型および無症状型を含む6種類の変異α-Gal動物細胞発現系を構築した。さらに、動物固体および臓器レベルでの変異α-Galの解析を行うため、ヒト正常α-Gal遺伝子および亜型患者由来の変異α-Gal遺伝子をそれぞれ導入したトランスジェニックマウスを作製した。 2. 患者由来α-ガラクトシダーゼ蛋白質の細胞内動態の解析 細胞内におけるα-Gal蛋白質の合成量は、臨床表現型とは無関係に、正常α-Galと各患者由来変異α-Galの間に有意な差は認められず、また、糖鎖のリン酸化にも明らかな差は認められなかった。したがって、各臨床表現型における細胞内のα-Gal残存活性の差は、蛋白翻訳直後生じる選択的な分解亢進に起因することが推察された。現在、この変異α-Galの分解処理とプロテオソームとの関連性を解析している。 3. 変異β-ガラクトシダーゼに対する基質アナログの効果 GM_1-ガングリオシドーシス患者およびモルキオB病患者由来の両変異β-ガラクトシダーゼ(β-Gal)に対する種々の基質アナログの効果を解析し、両患者由来の変異β-Galの基質特異性には明らかな差があることを実験的に証明した。特に、モルキオB病由来の変異β-Galは、生体内基質のーつであるケラタン硫酸の糖鎖部分[Galβ1→3GalNAc]への親和性が極めて低く、ほとんど分解できないことを明らかにした。これらの実験成績から、両疾患の臨床表現型の差異には、酵素分子レベルで生じる基質特異性の変化が直接関与しているものと考えられた(現在投稿中)。
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Research Products
(1 results)