1999 Fiscal Year Annual Research Report
リソソーム病の発生メカニズムの解明ならびに新規治療法開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
10672178
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
奥宮 敏可 高知医科大学, 医学部, 助手 (50284435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜庭 均 東京都臨床医学総合研究所, 臨床遺伝学研究部門, 室長 (60114493)
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Keywords | lysosomal storage disease / Fabry disease / GM_1-gangliosidosis / Morquio B disease / gene mutation / α-galactosidase / β-galactosidase / substrate analogue |
Research Abstract |
ヒトα-ガラクトシダーゼ(α-Gal)を発現するトランスジェニックマウスを作成し、各臓器における酵素蛋白の糖鎖修飾を解析した。心および腎において発現されたα-Gal蛋白は、エンドグリコシダーゼH処理により電気泳動上で分子サイズの低下を示したが、脾および肝において発現したものはエンドグシコシダーゼ抵抗性であつた。糖鎖のコア領域を切断するグリコペプチダーゼFでは、これらの分子サイズに変化は認められなかった。各臓器におけるα-Gal蛋白サイズの違いは、翻訳後に受ける糖鎖修飾の違いに由来するものと推察された。今後、このトランスジェニックマウスは、α-Galの組織特異的な糖鎖修飾の研究やファブリー病治療の基礎研究を行う際に有用な情報を提供するものと思われる。 GM_<1->ガングリオシドーシス患者およびモルキオB病患者由来の両変異β-ガラクトシダーゼ(β-Gal)に対する種々の基質アナログの効果を解析し、両患者由来の変異β-Galの基質特異性には明らかな差があることを実験的に証明した。また、合成基質アナログに対するβ-ガラクトース分解活性を高感度に直接測定する方法を確立し、GM1-ガングリオシドのアナログである[Galβ1-3GalNac]とケラタン硫酸のアナログである[Galβ1-4GlcNAc]の分解活性を測定した。その結果。モルキオB病由来の変異β-Galは、[Galβ1-3GalNac]に比ベ[Galβ1→4GlcNAc]への親和性が低く、[Galβ1→4GlcNAc]の分解効率が極めて低いことが明らかとなった。これらの実験成績から、モルキオB病においてはβ-Gal遺伝子の特異的変異に伴い当該発現酵素の基質特異性に変化が生じ、骨軟骨の主成分であるケラタン硫酸に対する分解効率が低下し、骨症状を主徴とした特異な病態を呈するものと思われた。
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