1998 Fiscal Year Annual Research Report
キャピラリー電気泳動技術による臨床検査試料分析の研究
Project/Area Number |
10672179
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宇治 義則 熊本大学, 医学部, 助手 (90203512)
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Keywords | キャピラリー電気泳動法 / アイソザイム分析 / LDアイソザイム / ALPアイソザイム / 免疫固定法 / 血清蛋白分析 |
Research Abstract |
キャピラリー電気泳動法(CE)による臨床試料分析法を確立し以下の知見を得た。まず、血清蛋白分析法については、古典的な5分画との相対評価として(1)CEはセルロースアセテート膜電気泳動法(CA)とは良好な相関が得られるが、アガロース電気泳動法(AG)との相関は好ましくない。 (2)CEのα-1グロプリン分画値はCA、AGに比べ高値を示す。基準値も異なる。(1)については支持体、電気泳動原理の違いに起因し、 (2)についてはCEが241nmで直接測定するのに対し、膜泳動は染色法を併用していることに起因する。すなわち、α-1酸性糖蛋白中のシアル酸濃度により、染色法は色素の染まり具合が異なる。 (3)血漿を試料とした場合、フイブリノーゲンがCAやAGではγ-グロプリン領域にピークとしてみられるが、CEでは検出されない。この原因は現在研究中である。 (4)一般的な共存物質の影響は添加実験により差異がない。(5)免疫固定法を併用した血清M蛋白同定のCE法は膜泳動・用手法では約2.5時間の分析時間を要するが、本法は約20分で同定ができる。しかしながら、臨床試料での解析から微小モノクロナールやポリクロナールな試料の分析には若干の難があり厳密な分析には古典的な方法との併用が現状、不可欠であり、改善法を研究中である。さらに、ゼロ電位法を併用した血液アイソザイム分析法としてLDアイソザイム分析では再現性、膜電気泳動法との相関も乖離するものは無く良好であった。また、ゼロ電位後、低圧(0.5psi程度)で酵素反応後産生物(反応指示物質)をキャピラリー外へ押し出し、検出・分析する方法を開発し、血清中ALPアイソザイムの分析に応用した。本法によりゼロ電位法の応用範囲が広がり各種生体試料分析への応用を継続研究中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Uji,Y.,et al.: "Evaluation of Beckman Paragon CZE2000 system; SPEs and IFE." Clin Chem. 44. A19 (1998)
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[Publications] 宇治義則、他: "キャピラリー電気泳動法の応用" 検査と技術. 26. 756 (1998)
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[Publications] 宇治義則、他: "キャピラリー電気泳動法臨床検査への応用(血清蛋白分画、血清M蛋白の同定、血液アイソザイムの測定について)" 日本臨床化学会九州支部会誌. (印刷中). (1999)