1999 Fiscal Year Annual Research Report
看護婦の視覚・聴覚・触覚による身体的情報の表現方法に関する研究
Project/Area Number |
10672199
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
齋藤 やよい 千葉大学, 看護学部, 助教授 (40242200)
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Keywords | 看護婦(士) / 記録 / 情報伝達 / 色表現 / 視覚 |
Research Abstract |
協力の得られた4地区592名の看護婦を対象とし、シュミレーションモデルによる生体モニター(便、尿、痰、消化器術後浸出液、胆汁、胸腔ドレーン排液、腎管排液)別の色表現の実際を聞き取り調査し、看護婦の視覚による身体的情報の言語化方法の特性を明らかにした。 1)色表現用語の総和は2139個であり、看護婦一人あたりの総数は23.0±12.1個であった。表現数は経験年数とともに増加し、9年目看護婦(35.3±26.5個)は最も多かった(p<0.01)。 2)色表現用語は4種類に分類された。(1)色名を使用し色調を表現した用語:(1)単色表現31.8%、(2)二色表現15.1%、(3)三色表現0.04% (2)色調の明度・彩度を表現した用語:(1)濃淡表現14.5%、(2)明暗表現2.7% (3)色名を使用せず色調のみを表現する用語:(1)勤務場所に限定して用いる専門用語(薬剤の色など)24.9%、(2)生活用語6.2% (4)造語:個人的な感性に基づく用語や病棟独自の記号4.7% 3)経験年数別では1年目は濃淡、明暗、生活用語、造語は少なく(p<0.001)、単色表現が多かったが、経験に伴い専門用語、生活用語、造語が増加した。専門用語は6年目をピークとし(p<0.05)、単色表現と逆転するが、役職との関連もあり7年目以降は再び単色表現の割合が増加した。 4)以上の結果より、色表現用語は看護職の経験とともに表現数が増加し、表現のバリエーションも拡大していた。しかし、増加した用語は普通性に欠けるその場に限定した専門用語や生活用語、個人の感性に基づく造語であり、このことが色表現を複雑にし、情報の共有化を妨げる一要因になると考えられた。
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