1998 Fiscal Year Annual Research Report
多胎児家庭における障害児の発生状況からみたファミリーケアの検討:多胎児家庭2000例のコホート調査
Project/Area Number |
10672207
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
横山 美江 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50197688)
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Keywords | 双子 / 障害児 / 母親 / 健康状態 / 疲労感 |
Research Abstract |
過去10年来,多胎児の出産率は不妊治療の影響により激増している。多胎出産は児の数が多いのみでなく,低出生体重児および障害児の割合の増加,発達遅滞の多発等多胎特有の問題を複数同時に抱えている。特に,障害児の問題は深刻で,双子や三つ子以上の多胎児は障害児の発生率が高い上,1組中に複数の障害児が発生する危険も高く,これら障害のある多胎児をもつ母親の負担が懸念される。本研究では,2000組の多胎児とその家族を対象とした実態調査の分析から,障害をもつ多胎児をかかえる家庭へのファミリーケアの効果的な具体的方策を検討するものである。今年度実施した研究では,双子家庭における障害児の発生状況,母親の健康状態,および育児環境を調査・分析し,以下の知見が得られた。 1) 障害児のいる双子の母親は障害児のいない双子の母親に比べ有意に健康状態が悪化しており,かつ身体面で重度の疲労感を訴えていた。また,障害児のいる母親は障害児のいない母親に比べ有意に睡眠時間が短く,重度の睡眠不足を訴えていた。 2) 障害児の有無別に母親の医療機関への受療状況を分析すると,障害児のいる双子家庭では容易に医療機関へ受診できない母親の比率が有意に高かった。また,障害児双子家庭の約6%,おおよそ16人に1人の母親には育児協力者がなく,障害児の療養を含めた育児全てを母親だけが担っていた。 3) 双子1組中の障害児の人数別で母親の健康状態,疲労状態,ならびに睡眠状態を分析すると,健康状態,および睡眠状態には差異は認められなかった。しかし,疲労状態において有意な差異が認められ,双方とも障害をもつ双子の母親は,片方が障害児の母親に比べ精神面で重度の疲労感を訴えていた。
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