Research Abstract |
研究目的:看護職者には患者のニードと身体の状態にあった適切な清潔の援助のための判断が求められるが,看護場面における患者の清潔動作が生体に及ぼす影響についてのデータはまだ十分に蓄積されていない.そこで基本的データを得る目的で,今回は三つの清潔動作を取り上げて,生理的変化と快適感を測定した. 方法:予備実験で条件設定等を試行後,平成10年9月30日〜10月24日の間,8名の健康成人女子を対象に,洗髪動作を伴わない入浴,シャワー浴(以下,s浴),ベッド上での全身清拭(以下,清拭)のそれぞれを別の日に実施時間帯を一定にして行い,それぞれの清潔動作前安静時(以下,前),実施直後(以下,直後),30分,60分の時点で,鼓膜温,心拍数,血圧,代謝量,全身の皮膚温,足背の皮膚血流量を測定した.測定場所は,入浴とs浴は本学の実習室内の浴室,清拭は本学の恒温度湿室を用いた.また,測定の各時点において被験者から快適感も聞き取った. 結果:鼓膜温平均値は,入浴・s浴では安静時に比べ直後で上昇し,その後下降するが,清拭では直後はほとんど前値に比べ変化なくその後上昇した.心拍数平均値は,入浴・s浴では前値に比べ直後上昇し,その後下降するが,清拭では直後も前値とほぼ変わらずその後下降した.代謝量平均値は,三つの清潔動作いずれも前値に比べ直後で増加しているがその後は減少しており,その中でも清拭においては直後の増加量は僅かであった.全身平均皮膚温の平均値は,前に比べ直後で上昇し,その後下降しているが,s浴では前と直後の変化は無く,その後上昇,また清拭においても前に比べ直後では下降し,その後上昇していた.足背の皮膚血流量は,入浴では安静時に比べ直後で急上昇し,その後は緩やかに徐々に下降するが,60分でも前値より高い値を示しているのに対し,s浴・清拭では直後は僅かに減少し,その後緩やかに上昇した.
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