Research Abstract |
1. 目的:看護大学の急増によって,近い将来大学及び大学院を卒業した看護者が,臨床の場で活躍することが予測される.一方臨床の場では,この急激な変化に対して期待と共に戸惑いが伺える.そこで本年度は,臨床に高学歴看護者が少ない現状での受け入れの実態を調査した. 2. 方法:対象は,近畿2府4県の300床以上の病院の看護部長である.調査内容は,病院の概要,高学歴看護者の採用の方針,受け入れ体制,看護管理者からみた新採用時の能力,将来への期待などである.方法は,郵送による質問紙調査で,回収率は22.1%(55施設)で,実施時期は,1999年2月である. 3. 結果(実態):大卒者は,21施設で採用(1998年4月)されており,その受け入れ準備は特に行われていない.採用方針は,希望者が有れば採用が33施設,積極的に採用は15施設であった.大卒者への期待は,病院全体の質の向上,リーダーとしての活躍,将来の管理者などであった.新採用時の大卒者の能力は,管理者の半数以上がややできるとしたのは,人間を総合的に理解する能力,批判的思考力,リーダーシップ能力などで,半数以上があまりできないとしたのは,専門知識と技術を統合する能力,他職種との協力・調整能力であった.就職2・3年後の期待は,多い順にバランスの取れたリーダー,仕事を理論的・計画的に進めるなどであった.受け入れ側の対応には,長い目で見守る姿勢,婦長の発想の転換,臨床実践を可能にするなどが必要とされた. 4. 今後の計画:次年度は,調査に協力の得られた病院で働く高学歴看護者へ面接調査を行い,今回の調査と合わせて現状の問題点を明らかにし,より適切な受け入れ体制と継続教育プログラムの構築をはかり,高学歴看護者がその能力を発揮し活躍できる環境づくりの方策を見いだす予定である.
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