1998 Fiscal Year Annual Research Report
地域で生活する精神障害者のセルフケアを支えるサポートシステムのモデルの開発
Project/Area Number |
10672252
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Research Institution | College of Nursing Art and Science, Hyogo |
Principal Investigator |
宇佐美 しおり 兵庫県立看護大学, 看護学部, 講師 (50295755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千藤 明美 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (50295763)
郷良 淳子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (40295762)
住吉 亜矢子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (00285347)
近澤 範子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助教授 (40118055)
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Keywords | 精神障害者 / セルフケア / サポートシステム / 地域ケア |
Research Abstract |
本研究は、地域で生活をする精神障害者サポートシステムの実態を明らかにし、専門家が、どのようなサポートを提供すると精神障害者の地域での生活が促進されるのかについて検討することを目的とした。 対象者は明石市内のK作業所、神戸市北区内の公立精神病院デイケア、神戸市西区内の私立精神病院デイケア、尼崎市内の作業所に通う精神障害者28名であった。調査は1998年7月から9月までの時期に行い、調査方法としては同意を得られた調査対象機関に研究者が出向き、通所者と一緒に活動を共にしながらなじみの関係を作り、半構成的質問紙を用いて、面接調査を行った。半構成的質問紙としては対象者の背景、サポートシステムに関する質問紙を用いた。そして逐語録をもとに、内容の分析を行い、カテゴリー化、主題の分析を行い、分析結果の妥当性の検討を質的研究の経験者と共に行った。結果は下記のようであった。 1) サポートを活用と自分の変化:対象者たちは、サポートを用いていく際、自分への理解を深めながらサポートを用いていた。とれない症状とつきあう過程の中で、症状を知り、症状とのつきあいを学びながら<自分と折り合い>、自分の生活世界を広げていた。そして<今、自分でやれること>を身の回りのことから模索し行う中で自分への自信を獲得していた。 2) 生活・治療の'場'からのサポート:精神障害者たちは、治療の目的で用いられる場を<ほっとできる場>として活用し、さらに<社会生活を営む上での生活機能の改善や訓練の場>として活用していた。 3) 人からのサポート:人からのサポートとしては家族、医療福祉専門従事者、周囲の人々に分けられた。家族からうけるサポートは多岐にわたり、障害者の社会化を促進していた。また医療福祉専門従事者には<相談>することでのサポートを得ており、障害者たちはこの<相談>を通して過去の自分と将来の自分へとつなぎをつけていた。そして、障害者をもつ友人や職場の人々との関係を通しながら、病気をもちながらも自分の生活世界を広げていた。これらの結果から得られたサポートシステムを、精神障害者が地域で生活する際に、どのように意図的に看護職が情報として、また実際の支え手として活用していくのかについての検討を行った。
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