1999 Fiscal Year Annual Research Report
地域で生活する精神障害者のセルフケアを支えるサポートシステムのモデルの開発
Project/Area Number |
10672252
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Research Institution | COLLEGE OF NURSING ART & SCIENCE, HYOGO |
Principal Investigator |
宇佐美 しおり 兵庫県立看護大学, 看護学部, 講師 (50295755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 真佐枝 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (40316055)
千藤 明美 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (50295763)
近澤 範子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助教授 (40118055)
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Keywords | 精神障害者 / セルフケア / 地域生活 / サポートシステム |
Research Abstract |
本研究は地域で生活を送る精神障害者のセルフケアを支えるサポートシステムのモデルの開発を目的とした。前年度に作成したモデルをさらに洗練させるため障害者ならびに専門家にサポートの実態について平成11年7月から8月にかけて面接調査を行った。対象者は兵庫県内の作業所ならびに知私立精神病院デイケアに通う精神障害者19名と彼らにケアを提供している専門家述べ29名で29名の中には医師、ケースワーカー、看護者、保健婦が含まれていた。地域での生活に成功している精神障害者のセルフケアの実態としては、食事内容・料理の仕方の工夫、一人の時間と人と過ごす時間のバランス、調子悪化時の対処、薬の調整、お金の管理、将来の希望に分類できた。そしてさらにこの日常生活は、<将来の生活への希望><今の生活への満足と維持>をもとに構成され、これらは年齢や発病からの期間、病名とは関係なく、むしろ<これまで何ができて、何ができなかったのか>と関連していた。 一方、専門職からのサポートは、見立てとサポートあるいはケアの内容が含まれていた。見立てとしては<患者自身への見立て><患者一家族関係の見立て><現在の治療・生活の場と患者の自立度との関係のみきわめ><患者と他の専門職や周囲とのかかわりをモニタリングしながら必要に応じてつないでいく><ケア・サポートの内容>に分類された。<患者自身への見立て>は「患者の病状への見立てと対応」「患者の成長発達のプロセスをたどる」「病状の経過と薬の関係をモニターする」「病状とこれまでの生活史との関連を考えながら患者の社会復帰の可能性を予測する」「病状と本来の性格との区別をしながら患者の対応をきめていく」「患者のセルフケアの程度の確認」「kなじゃ自身のもつ課題と患者への期待」「患者の思いと患者の生活行動の予測」「患者にとっての楽しみをしる」「病状の経過と現在の治療・生活の場との関係」にわけられた。また<患者一家族関係の見立て>においては、「家族の動きを視野にいれる」「家族への介入時期の見計らいと介入の可能性」「家族の満足度を知る」に分類された。さらに<現在の治療・生活の場と患者の自立度との関係をみきわめる>においては、「患者の生活・活動の場の広がりの程度をモニタリングする」「患者が安心してすごせる場の確認とそのような場へのつなぎ」に分類できた。さらに<患者と他の専門職、周囲との関わりをモニタリングしながら必要に応じてつないでいく>は、「患者の他の専門職の使い方をモニターする」「専門職の使い方を伝えていく」「患者の戻る場の確認とそこへの配慮」「患者の病状が悪化する関係性をさける」に分類できた。これらの結果を精神障害者の地域生活を促進・維持するセルフケアの有り様、サポートシステム促進のための専門家の機能と役割という視点から考察を行った。
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Research Products
(2 results)