1998 Fiscal Year Annual Research Report
日本が江戸時代後期に受容した医学、自然科学のヨーロッパにおける位置付けの研究
Project/Area Number |
10680009
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Research Institution | Niimi College |
Principal Investigator |
石田 純郎 新見公立短期大学, 看護学科, 教授 (80232304)
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Keywords | 蘭学 / 蘭学書 / 外科医 / クワック / 病院 / 大学 / 外科医ギルド / 内科医 |
Research Abstract |
平成10年度は、まず研究の素材の人手と,江戸時代後期に受容した学術書の背景となる18・19世紀のヨーロッパの医学・自然科学の学界の実態の把握に努めた. 研究の素材の入手のため、江戸時代後期の蘭学系の医学・自然科学書を蔵している大阪市の杏雨書屋、岡山大学医学部図書館、高梁市仲田家旧蔵書などの現地調査を行ない,検討の対象となる蘭学書の日本語翻訳書(刊本、写本)あるいはオランダ語原書の複写を行なった.そして原著者の履歴の解明に努めると共に、原著の書名、序文の内容などから、原著者が想定した読者層を推察する作業を開始した. 次いで、自費あるいは他からの費用でヨーロッパへ渡航した際に、18・19世紀のヨーロッパの医学・自然科学界の学問的水準、学界の社会的な位置付けの調査を行なった.当時、内科医と外科医、またはクワック(Quack、権力から免許を得ず、巡回して医療行為を行った)などと、社会の中で複雑に分化していた医療職の内で、日本が江戸期に受容した医学・自然科学は、ギルドを形成した職人としての外科医系のものであったことが、筆者の今までの研究で明らかになりつつあるが,18・19世紀のヨーロッパの外科医界を,史料に基ずき検討して、「オランダにおけるギルドを形成した外科医の医療職としての確立」として発表し、ギルド外科医界を描出した.また、「スペインの古い病院と大学の旅」で、前期近代期のヨーロッパの病院は専門的な医療機関とは言えず,教会に付設された慈善機関であった実態については説明した.蘭学を受け入れた日本側の学者としては、何名かの検討を行なった.その一部を「緒方洪庵とロイトル」として発表し、彼らの学歴・業績から、彼らが日本に紹介した蘭学のヨーロッパにおける位置付けについて検討した.
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[Publications] 石田純郎: "『解体新害』について" 岡山県小児科医会会報. 19号. 24-30 (1998)
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[Publications] 石田純郎: "明治以降の日本の医学教育-そのヨーロッパにおけるルーツ" 第2回岩手医科大学医学教育ワークショップ報告書. 29-34 (1998)
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[Publications] 石田純郎: "緒方洪庵とロイトル" 化学史研究. 25巻1号. 79-79 (1998)
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[Publications] 石田純郎: "日本の現代医学のミッシング・リンク" 日本消化器内視鏡学会. 40巻増刊2号. 1529-1529 (1998)
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[Publications] 石田純郎: "オランダにおけるギルドを形成した外科医の医療職としての確立" 新見女子短期大学紀要. 19巻. 27-38 (1998)
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[Publications] 石田純郎 他20名: "第2回日本医学会特別シンポジウム 医と教育" 日本医学会, 120 (1998)
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[Publications] 石田純郎(単著): "アジア・ヨーロッパ医科学史散歩" 考古堂, 400 (1999)