Research Abstract |
学習者にとって課題の遂行が極めて困雉な時には,学習の初期に手引き指導を行うことは最も効果的であると多くの著者に書かれている.しかし,遂行が極めて困難な課題の学習初期においても,手引き指導を行うことは,長期的学習において効果的でないと予想される.新しい両手協応(1/4周期のズレ)を習得することを課題として効果的な学習ストラテジーを調べることを本研究の目的とした.被験者は,1/4周期のズレを遂行できれば,モニターに円を描くこどができるということのみを教示された, (1)統制群, (2)手引き指導群,(3)観察学習群, (4)先行オーガナイザ群の4群を設けた.先行オーガナイザ群は,学習前に以下の情報を提供された.(1)右手の動きがモニター上水平の動きを示し,左手の動きが垂直の動きを示す. (2)in-phase,anti-phase,45及び135度のrelative phaseの意味も説明された.観察学習には,熟練モデルが用いられた.被験者はモデルの動きをどこから見ても良いと教示された.手引き指導群と観察学習群は,初日,手引きあるいは観察学習1試行後,自分自身で1試行行った.2日目に,手引きあるいは観察学習1試行後,自分自身で3試行行った.3日目は,全試行を自分自身で行った.保持テストは,3日目の1週間後に行われた.保持テストでは5試行が行われた. 結果は、保持テストにおいて,先行オーガナイザ群が他の群よりも有意に優れており,統制群は手引き指導群よりも有意に優れていた.このことは,学習者にとって遂行が極めて困難な課題の学習初期においても,手引き指導は効果的でないことが示された.また,手引き指導は,遂行が極めて困雉な課題の習得におけるパフォーマンスにおいても,学習においても効果的でないことが示された.モニターの時間構造に関する先行オーガナイザが,遂行が極めて困難な課題の習得において最も効果的であった.
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