1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680023
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
大桑 哲男 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (80115675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
直井 信 応用生化学研究所, 脳科学研究部門, 部長 (50022786)
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Keywords | 水酸化ラジカル / 還元型グルタチオン / 自由運動 / 走行距離 / グルタチオン還元酵素 / 肝臓 / スーパーオキシドジスムターゼ |
Research Abstract |
ヒトやラットにおいて一日の活動量は大きな個体差(8-50倍)が認められている。身体活動に伴う酸素の消費は、有害な活性酸素の生成を伴うことから、活性酸素を除去する能力、すなわち抗酸化能力が一日の活動量と関係していると考えられる。本研究では5週齢ラットを6週間running wheel付きケージで飼育し、一日あたりの平均走行距離と肝臓、心臓、脳、ヒラメ筋、ヒフク筋(白筋部分)及び血漿中の水酸化ラジカル生成量及び抗酸化能力の関係を明らかにした,平均走行距離は大きな固体差が認められたことから(346m〜3805m/日)、正規分布を示した群と正規分布を逸脱する群に分け結果を検討した。定規分布を示した群において、肝臓の水酸化ラジカルレベルは走行距離と負の有意な相関関係(r=-0.533,p<0.05)が認められた。水酸化ラジカルを除去する還元型グルタチオンは、肝臓、心臓及び脳において、走行距離と有意な正の相関関係が認められた(それぞれr=0.532,p<0.05;r=0.462,p<0.05:r=0.760,p<0.001)。グルタチオン還元酵素活性は、肝臓において水酸化ラジカルレベルと高い相関関係(r=0.559,p<0.05)が認められた。しかし正規分布を逸脱する群では、いずれにおいても有意な相関関係は認められなかった。活性酸素を除去するために肝臓は他の組織に還元型グルタチオンを供給していることを考えると、肝臓の還元型グルタチオンレベルが組織おける抗酸化能力を決定していることが示唆される。また肝臓のグルタチオン還元酵素活性は水酸化ラジカルの生成に誘導され、各組織での活性化酸素の除去に寄与していることが明らかとなった。本研究では走行距離が正規分布を示す群では、一日の活動量は抗酸化能力により決定していることが明らかとなった。
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[Publications] H.Itoh: "Effects of endurance training on hydroxyl radical generation in rats." Life Sciences. 63(21). 1921-1929 (1998)
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[Publications] H.Itoh: "Effects of training on hydroxyl radical generation and glutathione status in rat tissue." XXVI FIMS World Congress of Sports Medicine. 32 (1998)
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[Publications] 山本貴子: "誘導された抗酸化機能が自発的運動量を決定する" 第2回日本体力医学会東海地方会. (1998)
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[Publications] 山本貴子: "ラットの自発的運動量と酸化ストレスおよび抗酸化能の関係についての検討" 第53回日本体力医学会大会. 888 (1998)
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[Publications] 山本貴子: "自発的運動が酸化ストレスを軽減する" 第3回日本体力医学会東海地方会. (1999)