1999 Fiscal Year Annual Research Report
イメージトレーニングの有効性に関する運動神経生理学的機序の解析
Project/Area Number |
10680031
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
笠井 達哉 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (60112702)
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Keywords | motor imagery / MEP / TMR / FDI muscle / human / handedaess / plasticity |
Research Abstract |
平成11年度は、運動イメージ(motor imagery)が、大脳皮質運動野を磁気刺激(Transcranial Magnetic Stimulation;TMS)して得られる運動誘発電位(Motor Evoked Potential;MEP)に良く反映されることから、MEPの運動イメージ再生時の動態を指標にして、脳機能の左右差を調べる研究計画を実施した。すなわち、脳機能の左右差は、生得的側面と後天的に獲得された(成長・発達の過程における学習)結果から生じる側面があることから、脳機能の左右差を詳細に検討すれば、脳機能の運動イメージ再生機能の解析に、有益な知見をもたらすものと考えた。 結果は予想に反して驚くべきものであった。すなわち、運動イメージ再生機能は、左利きの被験者においては、右利きの被験者と鏡像関係にはならないで、左利き特有の脳機能を示した。具体的には、左利き被験者は、右利き文化の中で成長・発達してきた結果、本来の左利き被験者に特有な機能として見られると予想された「右脳優位性」が見られず、右利き被験者に見られたような明らかな脳機能の左右差は示さなかった。この事実は、脳の機能(運動イメーシ再生機能も含めて)は、環境に依存して変化する可塑性(plasticity)を持つと考えられる。そして、この事実は、脳の運動イメージ再生機能も、学習(練習)経験の多寡が、その機能に大きく影響する可能性を示唆していた。
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[Publications] Yahagi,S. and Kasai,T.: "Motor evoked potentials induced by motor imagery reveal a functional asymmetry of corlical motor control in left-and right-handed human subjects"Neuroscience Letters. 276. 185-188 (1999)