1999 Fiscal Year Annual Research Report
運動負荷後の弱毒性病原菌に対する非特異的免疫機構の相互連関
Project/Area Number |
10680032
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
塩田 正俊 山口大学, 教育学部, 教授 (90187328)
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Keywords | 運動強度 / 中等度運動 / 唾液 / リゾチーム / ラクトフェリン |
Research Abstract |
好中球は、侵入してきた病原微生物を捕食し「活性酸素」で殺菌する。また、好中球は非酸化的に「リゾチーム」や「ラクトフェリン」などを分泌し、抗菌作用を発揮することも知られている。好中球から分泌されるリゾチームやラクトフェリンは、口腔などの粘膜などからも分泌され、局所免疫機能の一端を担っている。最近、リゾチームがエイズウイルスの増殖を抑制することやリゾチームおよびラクトフェリンが口腔感染症であるカンジダ症(candidiasis)と関連していることが報告され、リゾチームおよびラクトフェリンは非特異的免疫機構の液性因子として重要な役割を演じていることが示唆される。 本研究では、運動時の唾液リゾチーム濃度および唾液ラクトフェリン濃度を調べ、運動と口腔局所免疫機能との関連を検討した。短時間の運動では、唾液分泌量に一定の傾向は認めなかったが、屋外でのランニングでは走スピードの上昇に伴い唾液分泌量は減少した。また、短時間の自転車運動でも最大運動に近い強度の運動では、唾液分泌量は減少傾向を示した。一方、唾液リゾチーム濃度およびラクトフェリン濃度は運動強度の増加に伴い比例的に増加した。しかし、高い強度の運動では唾液リゾチーム分泌量およびラクトフェリン分泌量が低下した。 50%VO_2max.で20分間の運動では、唾液分泌量に変化はなかったが、唾液ラクトフェリン濃度に有意な上昇が認められた。 以上の結果から、中等度の強度の運動では、口腔局所免疫機能の亢進が示唆され、いわゆる弱毒性病原菌に対する抗菌力の上昇する可能性も示唆された。
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