1998 Fiscal Year Annual Research Report
発汗による生体中必須微量元素の損失量の評価に関する研究
Project/Area Number |
10680057
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
星 秋夫 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (20139265)
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Keywords | サウナ入浴 / 汗 / 微量元素 |
Research Abstract |
目的:一部スポーツ選手においては、血中微量元素濃度の減少や鉄欠乏性貧血のみならず亜鉛欠乏性貧血の存在する事が、近年報告されるようになってきた。このような症状を引き起こす主要な要因の一つとしては、発汗により微量元素が消失している可能性が考えられる。そごで本研究では、発汗による微量元素の消失の程度を明らかにするためサウナ入浴を用い、汗中の微量元素濃度について検討した。 方法:健康な成人男性10名(22〜26歳)を被験者とし、60℃、30分間の乾式サウナ入浴実験を行った。実験前後に10g精度の体重計により体重を測定し、その差をもって発汗量とした。汗の採取は全身法と局所採汗法であるアームバッグ法により行い、汗中微量元素濃度を比較検討した。 結果:本研究での発汗量は平均0.53kgであった。全身法とアームバッグ法による亜鉛濃度はそれぞれ、339.6μg/、l70.2μg/l、銅:35.4μg/l、31.1μg/l、鉄:32.9μg/l、15.1μg/l、コバルト:0.2μg/l、0.1μg/l、ニッケル:23.0μg/l、11.8μg/l、モリブデン:0.4μg/l、0.2μg/lであり、すべての元素でアームバッグよりも全身法で高値を示した。 考察:発汗により微量元素が損失することが認められた。したがって、スポーツ選手では多量の微量元素が消失するものと推測させる。全身法で高値を示した要因として、皮膚からの混入、汗の蒸発による濃縮の可能性が考えられる。全身法とアームバッグ法での濃度の関連性についてみるとニッケルを除き、いずれの元素においても明らかな関連性が認められなかった。発汗量は個人差や発汗部位により著しく異なるためであると考えられ、アームバッグ法のみで全身の微量元素消失量を評価するのは難しいと考えられる。
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