2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680064
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Research Institution | OSAKA GAKUIN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
角田 聡 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (10158983)
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Keywords | 運動 / 酸化ストレス / レドックス / チオレドキシン / Ref-1 / 抗酸化ストレスタンパク質 / マウス |
Research Abstract |
本年度は,抗酸化ストレスタンパク質であるチオレドキシン(TRX)と核内でTRXと結合して転写因子の活性化に関与するRedox factor-1(Ref-1)が運動トレーニング後に骨格筋でどのように発現するかを検討した。ICR雄マウスに4週間のトレッドミル(25m/min,60分間/日,5日間/週)運動を負荷した後に,腓腹筋とヒラメ筋の細胞質画分,核画分のTRXとRef-1の発現をウエスタンブロットによって分析した。腓腹筋のクエン酸合成酵素活性(CS)はコントロール群(34.8±5.7(SE)units/mg protein)に比べて運動群(43.7±7.1(SE)units/mg protein)では有意な差は認められなかったが高値を示した。TRXは運動トレーニング群の腓腹筋細胞質画分で発現量が有意(P<0.05)に増加した。しかし,ヒラメ筋の細胞質画分では有意(P<0.05)に減少した。骨格筋でTRXの発現に違いがみられた要因は明らかではないが,筋の代謝様式の違いによる酸化ストレスの関与が示唆される。Ref-1は両筋肉の核画分で有意(P<0.05)に減少した。Ref-1はDNAの修復酵素としても働くことより,DNA修復,レドックス調節,他の遺伝子発現などに働いた結果ではないかと考えられる。本研究の結果から,運動トレーニングによってTRXやRef-1のようなレドックス調節に関与する抗酸化ストレスタンパク質は,その発現に影響を受けることが明らかになった。しかし,運動トレーニングがTRX,Ref-1の発現を増加または減少させることが細胞内シグナル伝達,転写因子,DNA修復などにどのように関与しているのかについては今後さらに研究する必要がある。
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