1998 Fiscal Year Annual Research Report
消化機能の維持増進のための運動処方確立に関する基礎的研究
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10680071
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
湊 久美子 和洋女子大学, 家政学部・健康栄養学科, 助教授 (70211589)
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Keywords | 自発運動 / 運動量 / 膵重量 / 膵酵素活性 |
Research Abstract |
【目的】消化機能の維持・増進を目的とした運動処方の確立のために,運動量と膵酵素活性の関係について検討した.【方法】被験動物にはFischer344雌性ラット4週齢を用い,安静群と自発運動群に分け,安静群は個別飼育ケージ,自発運動群は回転式自発運動量測定装置にて個別飼育した.両群の摂餌量は調整して一致させた.自発運動には回転輪に体重の30%負荷がかかるように設定し,5週齢以降に8週間のトレーニングを実施した後に1晩絶食状態で麻酔下で開腹して全膵組織を摘出した.膵組織は湿重量,蛋白濃度,膵酵素活性を測定した.【結果】摂餌量,体重とも有意に自発運動群で低い結果となった.自発運動群の一日平均走行距離は3392=2495mであった.体重当たりの膵湿重量は自発運動群で有意に高値を示した.また,自発運動群の各個体におけるそれは,それぞれの自発運動の総走行距離との間に高い正の相関関係(r=0.9632)が得られた.蛋白含量,膵酵素活性には,両群間に差違は認められず,走行距離との関連も認められなかった.【考察】これまでに,持久的運動習慣によって膵は肥大すること,膵の蛋白含量,酵素の貯蔵量の増加,酵素分泌の増大などが報告されている.今回,蛋白含量や膵酵素活性に両群間に差違が認められなかったのは,摂餌量の違いによるものではないかと想像できる.また,走行距離に個体差が大きかったことも影響しているかもしれない.一方,膵の体重当たりの湿重量に関して,摂餌量に違いがあるにもかかわらず,これまでの報告と一致して自発運動群で高値を示した.また,各個体の総走行距離との間に高い相関関係が得られたことは,膵の肥大には,食の影響よりも,運動習慣の影響がより大きい可能性を示唆していると考えられる.同時に,運動量の差が膵外分泌機能すなわち消化機能に影響する可能性も示唆された.運動量の変化と膵外分泌機能についてさらなる検討が必要である.
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