1999 Fiscal Year Annual Research Report
消化機能の維持増進のための運動処方確立に関する基礎的研究
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10680071
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
湊 久美子 和洋女子大学, 家政学部・健康栄養学科, 助教授 (70211589)
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Keywords | 消化機能 / 自発走 / 強制走 / 運動量 / 運動強度 / 膵外分泌機能 / 膵蛋白含有量 / 膵酵素活性 |
Research Abstract |
【目的】消化機能の維持・増進を目的とした運動処方の確立のために,昨年度に引き続き運動量(走行距離)と膵酵素活性の関係,さらに今年度は運動強度についても検討を加えた.【方法】実験動物にはF344雌ラット5週齢を用い,個別ケージ中で1週間の予備飼育の後,対照(C)群とトレーニング群に分けた.自発走トレーニング(VT)群は,回転輪付き(負荷:体重の30%)個別ケージで飼育し,毎日,走行距離を確認した.強制走トレーニング(TT)群は,トレッドミル(分速35m,60分)走を週に5日実施した.摂餌量は3群とも同量になるように調整した.8週間後,一晩絶食状態で麻酔下で開腹し全膵組織を摘出し,湿重量,蛋白含量,膵消化酵素活性を測定した.【結果】体重はC群に比較してTV,TT群で有意に低かった.VT群の一日平均走行距離は5198±1001m,TT群のトレーニング日の走行距離は2100mであった.膵の湿重量,蛋白含量,消化酵素(アミラーゼ・リパーゼ)活性はVT,TT群で有意に高値を示した.また,各個体のこれらの値と走行距離(C群:0m,TT群:2100m,VT群:各個体の走行距離)との間に有意な相関関係(r=0.498-0.754)が得られた.【考査】昨年度の結果では,膵湿重量を除いて自発走トレーニングによる効果は認められなかったが,今回は,強制走と同等あるいはそれ以上の膵外分泌機能向上が確認できた.昨年より総走行距離が延長したことが関係していると考えられる.また,自発走の運動強度は今回の強制走(35m/min)の強度に比較して低く,膵外分泌機能の向上には運動強度よりもむしろ総運動量の増加が有効であることが推察できた.総括して,消化機能の維持・亢進には低-中等度運動を総運動量が多くなるように習慣化して実施することが望ましいと思われる.来年度以降は運動習慣による膵外分泌機能亢進の機構を探る実験を実施する予定である.
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