2000 Fiscal Year Annual Research Report
消化機能の維持増進のための運動処方確立に関する基礎的研究
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10680071
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
湊 久美子 和洋女子大学, 家政学部・健康栄養学科, 助教授 (70211589)
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Keywords | 消化機能 / 膵外分泌 / 消化管ホルモン / CCK(コレシストキニン) / 阻害剤 / CR1505(ロキシグルマイド) / 運動習慣 / 膵腺房細胞 |
Research Abstract |
【目的】消化機能の維持・増進を目的とした運動処方の確立のために,膵外分泌と運動習慣について検討した.今年度は,運動習慣による膵外分泌亢進の機構を追求するために,消化管ホルモンであるCCKの阻害剤であるCR1505投与の影響を検討した.【方法】F344雌ラットをコントロール(C)群,CR1505投与したCR群,CR1505投与を投与し,さらに持久的トレーニングを実施したCR-T群,持久的トレーニングのみを実施したT群に群分けした.持久的トレーニングは35m/分のトレッドミル走を週5日,8週間負荷し,CR1505は10mg/kg体重を週に5日,8週間,皮下投与し,4群の膵外分泌機能を比較検討した.【結果】T群,CR-T群では,C群,CR群に比較して有意な体重増加抑制,下腿骨格筋肥大を認め,トレーニング効果が得られた.CR群ではC群に比較して膵外分泌機能に変化は認められなかった.T群では,膵湿重量,膵蛋白含量がC群,CR群に比較して有意に増加し,膵腺房細胞の電子顕微鏡像においても細胞の肥大,酵素原顆粒の数の増加および大きさの肥大が観察され,膵外分泌機能へのトレーニング効果が認められた.一方,CR-T群では,膵蛋白含量の増加ならびに酵素原顆粒の数の増加は観察されたが,膵湿重量ならびに細胞や酵素原顆粒の大きさには変化が認められず,CR-1505投与により膵外分泌機能へのトレーニング効果が一部消失していた.【考察】持久的トレーニングによる膵湿重量の増加や腺房細胞の肥大はCCKの特異的阻害剤であるCR1505投与によって認められず,運動習慣による膵外分泌機能亢進にはCCKがmediatorとなっていることが明らかとなった.同時に,膵蛋白の合成や貯蔵にはCCKだけでなく,運動習慣によって亢進する迷走神経系の関与も可能性が高いことが示唆された.
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Research Products
(2 results)