2000 Fiscal Year Annual Research Report
わが国石炭産業撤退期の産炭地域における振興法の成果と社会・経済的疲弊の実態
Project/Area Number |
10680078
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
西原 純 静岡大学, 情報学部, 教授 (30136626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 史郎 静岡大学, 情報学部, 教授 (00145971)
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Keywords | 産炭地域 / 企業誘致 / 地域振興 / 疲弊 / 自治体アンケート |
Research Abstract |
3年計画プロジェクトの最終年にあたる本年度には、産炭地域自治体への聞き取り調査・郵送式アンケート調査を行うとともに、外国事例との比較研究、および報告書のとりまとめを行った。 聞き取り調査では、北海道美唄市・歌志内市を選び、炭鉱閉山の地元への影響及び企業誘致の実績について調査した。近接しながらも立地条件が大きく違う美唄市と歌志内市とでは、再活性化に大きな差異が生じていた。 1996年4月1日現在、産炭地域に指定されていた自治体について、「地域振興政策の柱の変遷」「企業誘致の実績」「当該地域における進出企業数と撤退企業数」「企業の立地条件についての評価」「主要な地域振興プロジェクト」「地域振興についての自治体の自己評価」「現時点でなお抱える問題点」「問題点の原因」を尋ねる郵送式アンケート調査を実施した。回収率(発送数169件)は47%であった。 その結果、1)元々炭鉱の影響が少ない自治体、2)閉山から長期間がたち、立地条件も恵まれて再活性化が順調にいっている自治体、3)閉山から長期間がたつものの、立地条件に恵まれず依然として大きな問題を抱えている自治体、4)1980年代後半の「なだれ閉山」の影響を受け、再活性化が進まない自治体の4タイプが存在し、(1)ほとんどの産炭地域自治体では、「一般の過疎地域なみ」に達していること、(2)地域振興の柱が、産業振興から生活基盤・福祉制度の整備に重点が移りつつあること、(3)産炭地域のイメージの悪さを払拭しきれていないこと、(4)少数の自治体には、住民に社会的疲弊の後が根強く残っていることが明らかになった。 また外国事例との比較では、カナダでも炭鉱・鉱業都市の衰退が著しく大きな社会問題となっているが、しかしながら文字通りゴーストタウンとされることが多く、閉山地域の再活性化はさほどの大きな行政的目標ではないことが明らかとなった。
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