1998 Fiscal Year Annual Research Report
水車動力の地域への受容、定着、展開に関する地理学的研究
Project/Area Number |
10680088
|
Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
平岡 昭利 下関市立大学, 経済学部, 教授 (90106013)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野間 晴雄 奈良女子大学, 文学部, 教授 (00131607)
|
Keywords | 水車動力と地域 / 動力水車 / 揚水水車 |
Research Abstract |
1 平成10年度はフィールドワークとして動力水車の調査を長野県諏訪地方、揚水水車の調査を佐賀県相知町で実施した。また、水車関係の文書、資料収集は、山口県文書館、東京都公文書館で検索を行った。 2 長野県では戦前に生糸生産が盛んだった岡谷市にスポットをあて調査をした。この地域の水車動力の利用は、明治8年に中山社により器械製糸工場の動力として用いられて以降、急速に普及した。とくに天竜川沿いには片倉製糸をはじめ大規模な器械製糸工場が林立し、初期の工業用動力として水車動力が用いられたが、その多くが江戸時代から続く伝統的な灌漑用の揚水水車の「藤車」を器械製糸用の動力に転換したものであることが判明した。 3 佐賀県では揚水水車が稼動している相知町で実態調査を行った。ここの揚水水車の起源などは不明であったが、歴史は古く、聴取によるとかつて22台あった。しかし、現在は7台に減少し、さらに減反によって揚水水車が不要になる可能性もあったが、近年、町が文化財に指定し、保護に乗り出している。町立図書館では水車関係の文書を所蔵している。 4 水車の資料関係の調査では、山口県文書館に「水車建設・廃止一件」という綴りが所蔵されていた。比較的新しい昭和初期の水車の導入、廃止の状況が把握でき、目下、その内容を分析中である。東京都公文書館にも多数の明治以降の水車関係の公文書が所蔵され、水車台帳の形式に整理された報告書もある。これら公文書の中で、水車の導入の経緯が記載されている文書の検索作業を行った。
|