1999 Fiscal Year Annual Research Report
水車動力の地域への受容、定着、展開に関する地理学的研究
Project/Area Number |
10680088
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
平岡 昭利 下関市立大学, 経済学部, 教授 (90106013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野間 晴雄 奈良女子大学, 文学部, 教授 (00131607)
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Keywords | 水車動力と地域 / 動力水車 / 揚水水車 |
Research Abstract |
1.平成11年度はフィールドワークを中心に調査を実施した。動力水車の調査を岐阜県瑞浪市、山形県北部地域、岡山県津山市で、揚水水車の調査を岡山県倉敷市で行った。 2.動力水車の調査:岐阜県瑞浪市では地場産業である美濃焼の原料の陶石粉砕のため江戸時代より在来型の陶土水車が用いられており、大正期には石の摩擦を利用するトロンミルが考察され、さらにペルトン水車が導入されているが、その経緯についてははっきりしなかった。最盛期には百数十台あったトロンミルは、現在、わずか2台となっている。 岡山県津山市には直径4.6、5.3mの巨大な水車が製材、和紙製造用に利用されている。製材水車は水車の回転力を歯車、ベルトを利用して高速回転に変えながら帯鋸に伝達し稼動させるもの、和紙製造水車は、水車の回転力がビーター(ミツマタの繊維を分解させる機械)を稼動させている。以上の動力水車は、日本ではほとんど残っておらず、貴重であり産業遺産として保存すべきである。 3.揚水水車の調査:揚水水車が集中、稼動している岡山県倉敷市祐安で行った。ここの揚水水車は比較的新しく、昭和初期に導入されている。この地域は高梁川下流の砂礫層地帯で水漏れがひどく、水田化には絶え間ない水供給の必要から揚水水車を導入したものである。農民は燃費のかかるポンプよりも水車を選択した。最盛期には30台余りの揚水水車が稼動していたが、現在は21台となっている。これだけの揚水水車が集中する地域は他にはなく、減反によって水車が不要になりつつあるなかで、保護の施策をとる必要がある。
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