2001 Fiscal Year Annual Research Report
水車動力の地域への受容、定着、展開に関する地理学的研究
Project/Area Number |
10680088
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Research Institution | SlMONOSEKI - City University |
Principal Investigator |
平岡 昭利 下関市立大学, 経済学部, 教授 (90106013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野間 晴雄 奈良女子大学, 文学部, 教授 (00131607)
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Keywords | 水車動力と地域 / 動力水車 / 揚水水車 |
Research Abstract |
1.平成13年度は、フィールドワークとして動力水車の調査を秋田県米代川流域・青森県奥入瀬川流域と南西諸島の奄美大島・沖縄本島で行い、資料調査を福岡県小郡市で行った。 2.南西諸島の製糖水車の調査では、奄美大島で多くの製糖水車場跡を見い出した。明治初期の統計によると、奄美大島・加計呂間島で製糖水車が552台あったとされるが、調査の結果、奄美大島北部の浦上川や大川、中部の川内川や住用川など落差の大きな河川に集中して展開していたことが判明した。また、これらの製糖水車は、多くが2〜5mの上射式であり、山腹から引いた水路やため池から取水して稼動させていた。水車の回転軸に取り付けられた3つのローラーによってサトウキビを圧搾する仕組みで、水車は製糖期の前に組み立てられ製糖終了後、分解して保存した。 沖縄県での製糖水車の利用は、1888年に中頭村読谷門切で始まり、その後沖縄本島北部地域へ普及したとされるが、調査では製糖水車場の遺構は発見できなかった。サンゴ礁地域では、保水力が弱く一般にはそれほど普及しなかったと推測される。 3.資料調査では福岡県小郡市の老舗から発見された『水車巡路道絆覧図』の複写を行った。この地図帳は、24ページからなり筑前・筑後・肥前の得意先の水車粉引き業者(製粉水車)約600軒をドットしたもので、水車場の復元にきわめて有効といえる。明治前期に刊行された地形図に記載の水車場との比較検討作業を継続している。
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