2000 Fiscal Year Annual Research Report
近世新田開発の一類型・房総の川廻し新田の地形および文書による復元
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10680094
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
吉村 光敏 千葉県立中央博物館, 地学研究科, 科長 (80250132)
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Keywords | 人工地形 / 穿入曲流 / 川廻し / 新田開発 / 地形改変 / 曲流短絡 |
Research Abstract |
1.川廻し新田の地形調査:補足調査を行った。 大多喜町の大多喜ダム水没予定地の西部田川沿岸、大多喜町小沢又、市原市石神の川廻し地形を現地調査し、川廻しシンカワ、フルカワ、シンカワのトンネル形状等の地形の確認を行った。特に、小沢又の川廻しは、フルカワの地質断面等も明瞭で、模式的なΩ型川廻し地形と認定できた。 2.全県の川廻し地形所在図を作成した。 全県450ヶ所の短絡の位置とそのタイプについて、所在地図を作製した。 3.所在データベース:川廻し地形のデータベースを作成した。 450ヶ所の短絡につき、位置・形状・岩質・川廻し類型についてデータベース化した。 4.川廻し新田のボーリング、微地形調査:君津市清水、字濃水の川廻しにおいて断面観察を行った。フルカワ新田の盛上層の厚さについて、フルカワの上流側ではシンカワのトンネル天井高にほぼ等しいだけの盛土又は小規模な築堤が行われるのに対し、フルカワの下流端においては、シンカワ出口部分で川幅を広げ、洪水水位を低下させる事により、浸水被害を軽減する手法が取られる結果、盛土高は、1m以下でも可能となっていることが分かった。 5.水田開発目的以外の林業用川廻し地形調査 君津市奥米地区小字開墾場の川廻し、大多喜町西部田地区、君津市東大演習林内川廻し等の造林、治水等のために行われ、水田を伴わない川廻し地形を現地調査し、8ヶ所について、地形観察を行った。水田をともなわないだけでなく、その目的や用途の時代性から、水田型川廻しより、時期的に新しく、シンカワの形状も異なることが分かった。 林業型川廻しは、明瞭なフルカワ地形を残さず、地形的にも小規膜であり、水田型に比べてその所在確認が進んでいないので、新た起発見に勤めたい。
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