2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680100
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 眞紀子 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (10175119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤嶽 暢英 神戸大学, 農学部, 助教授 (50243332)
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Keywords | 腐植酸Pg / 菌核 / テフラ土壌累積断面 / 環境指標 / 年代分布 |
Research Abstract |
1)Pgの年代分布 10万年のシークエンスをもつ南九州テフラ土壌累積断面におけるPgの年代分布は、酸素同位体比曲線とよく対応する周期的な変動がみられ、とくに亜間氷期に相当するステージ3付近で強く発現することが明らかとなった。また、神奈川県大磯丘陵のテフラ土壌累積断面ではステージ5eの最終間氷期開始期(14-14.5万年前)に相当する下末吉土層でPg吸収強をが大きくなった。またこれより古い年代でPgの構造に変質性がみられた。 2)Pg前駆物質としての菌核の形態と化学組成 国内外の菌核を用いて、菌核の検出密度、走査電子顕微鏡による菌核の形態および表面構造、菌核様粒子内部の元素分析、^<27>AlMASNMRによる菌核のアルミニウム存在形態を調べた。また各土壌についてpH(H_2O,KCl)、交換性アルミニウムの定量、全分析ほかを行った。その結果、菌核の検出密度、菌核内のアルミニウムはpH(H_2O)が4.9以下、交換性アルミニウム含量が高い土壌で高濃度になることが明らかになった。菌核内部に取り込まれたアルミニウムは、腐植複合体として存在している可能性が示唆され、土壌中のPgの存在形態を解明する上で重要な知見が得られた。 3)異なる腐植酸中に含まれる緑色成分Pgの比較 2つの異なる土壌と菌体から得られたPgについてTOSOH社製ポリマーGPCカラムを用いたHPLC(pH11.5、0.1M炭酸ナトリウム溶液)に供し、得られた450nmでのクロマトグラムのパターン分析から各Pgの相違性(同一性)について検討した。その結果、2つの異なる土壌のPgはほぼ同様の10成分からなるが若干その組成比が異なること、一方、菌体では同様に10成分からなるが土壌とは異なる成分も存在することが明らかになった。
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[Publications] 渡邊眞紀子,小島直聡,杉山真二: "腐植酸Pg吸収特性とタケ亜科植生との関係について."日本土壌肥料学会講演要旨集. 46. 36 (2000)
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[Publications] 加戸卓,渡邊眞紀子,藤嶽暢英,太田宏行: "妙高つばめ土壌断面における菌核の分布と化学組成."日本土壌肥料学会講演要旨集. 46. 35 (2000)
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[Publications] 八木通江,生長陽子,藤嶽暢英,太田寛行,渡邊眞紀子: "妙高燕土壌中の菌核様粒子微生物フロラの解析."日本土壌肥料学会講演要旨集. 46. 35 (2000)
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[Publications] Watanabe,M.and Kado,T.: "Chronological distribution of humic acid Pg in loessic paleosol of Langenbogen, eastern Germany."Jour.of Geography. 109. 753-758 (2000)
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[Publications] 渡邊眞紀子,野澤智明,細野衛,関東第四紀研究会: "大磯丘陵における下末吉土層の腐植酸緑色画分Pgの存在形態."日本腐植物質研究会講演要旨集. 16. 45-46 (2000)
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[Publications] 渡邊眞紀子,小林孝行: "南九州テフラ-土壌累積断面における腐植酸Pgの存在形態と生成環境."第四紀研究. 40. 19-28 (2001)
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[Publications] 渡邊眞紀子,藤嶽暢英,太田寛行: "土壌から検出される菌核様粒子の形態と化学組成の比較."日本土壌肥料学会講演要旨集. 47(発表予定). (2001)
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[Publications] 大石隼平,渡邊眞紀子,Pott,A.,他: "ドイツ・ハーツ山における菌核様粒子の分布と土壌の性状."日本土壌肥料学会講演要旨集. 47(発表予定). (2001)
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[Publications] 藤嶽暢英,小林孝行,渡邊眞紀子,太田寛行: "異なる腐植酸中に含まれる緑色成分(Pg)の比較."日本土壌肥料学会講演要旨集. 47(発表予定). (2001)