1998 Fiscal Year Annual Research Report
環境変動の大きさと速さの解明-長江デルタの過去2万年間の環境変遷を例として-
Project/Area Number |
10680105
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田場 穣 日本大学, 文理学部, 教授 (20059439)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 誠一郎 国立歴史民俗博物館, 助教授 (20137186)
糸田 千鶴 大阪短期大学, 専任講師 (80246800)
遠藤 邦彦 日本大学, 文理学部, 教授 (70059781)
片瀬 隆雄 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (70070696)
|
Keywords | 環境変動 / 長江デルタ / 珪藻分析 / 有孔虫分析 / 花粉分析 / 古地磁気分析 / 完新世海進 / ボーリングコア |
Research Abstract |
太湖,太湖平原を含む長江デルタで得られたボーリングコアを用いて,様々な分析を行い,環境変動の大きさや速さを検討するための基礎資料を得ることができた. 1.コア試料の時間軸の設定 太湖内の2つのコアおよび太湖の南部平原の1つのコアについて,AMS法による年代測定と,古地磁気永年変化の測定を行った.この結果に基づいて,日本列島における標準古地磁気永年変化曲線(Hyodo,1993による)との比較から過去1.2万年間の年代をコア試料に対し設定した. 2.古環境分析 上記3つのコア試料について,珪藻分析,花粉分析,有孔虫分析,帯磁率測定,粒度分析,土色測定,化学分析を行った.その結果,9000年前から5000年前にかけて,杭州湾側から海が浸入していたことが明らかになった.同時に,5000年前以降2000年前にかけて,急激な湖面低下,あるいは離水が2〜3回にわたって起こったことも明らかになった.また,1万年前以前に明瞭な海進が認められた.この層準の位置づけは極めて重要な意味を持つと考えられる. 3.これまでに得られたデータに基づいて相対的海面変化曲線を作成した. 4.珪藻分析や有孔虫分析結果は完新世の海進と海退の傾向をほぼ対応して示したが,同一の試料でありながら両者で異なる環境を示す層準が見られた.このずれは,急激な環境変動が起こる時に生じる,生物種の対応の差を示す可能性があり,注目される. 5.さらに多くのコアを分析することにより,環境変動の大きさや速度を検討できると考えられるので,引き続き分析・研究を継続する予定である.
|
Research Products
(2 results)