1998 Fiscal Year Annual Research Report
色素の光退色-光化学反応性と耐光堅牢度を結びつける試み
Project/Area Number |
10680108
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
生野 晴美 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (80110732)
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Keywords | 色差 / 閾値 / 視感判定 / ブルースケール |
Research Abstract |
染色物の耐光堅牢度試験の標準青色染色布であるブルースケールを、新たに導入した、日光に近似した分光特性を有するキセノンアークランプを光源とするフェードエスタを用いて、JIS L 1843-1988に準じて光照射し、1〜6級の色表の変退色過程をCIE L^*a^*b^*表色系の測色値により追跡した。1〜3級の色表は光照射5時間でそれぞれ色差13、9.6、7.9の大きな退色を示したのに対して、4級色表は10時間で色差2.1、5級色表は20時間で色差2.7、6級色表は40時間で色差3.3の小さな退色を示し、4〜6級の色表に認められた退色は視感でかろうじて判別できる程度であった。 ブルースケールの3級色表の染色に使用されているAcid Blue 83(トリフェニルメタン系、Kayanol Cyanine 6B、日本化薬)を用いて、ブルースケールと同組織の羊毛布を染料濃度を変化させて染色し、JIS Z 8723-1988に準じって視感判定により色差の閾値を調べた結果、淡色布、濃色布いずれも色差が2を超えると、色濃度の違いを識別できることが明らかになった。色差2に対応する染着量の差は淡色布では0.2〜0.26mol・kg^<-1>、濃色布では0.65〜1.04mol・kg^<-1>であり、同じ色差を与えるために、濃色布では淡色布のおよそ5倍の染料が必要であることを見出した。溶液系でも同様の実験を行い、染料濃度によらず、色差を2を越えると、色濃度の違いを識別できることを見出した。色差2に対応する染料の濃度差は0.1〜1.0×10^<-5>mol・dm^<-3>の低濃度域では0.1×10^<-5>mol・dm ^<-3>、2.0〜10.0×10^<-5>mol・dm^<-3>の高濃度域では1.0×10^<-5>mol・dm^<-3>であり、同じ色差を与えるためには、高濃度域では低濃度域の10倍の染料濃度が必要であることをが明らかになった。
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