2000 Fiscal Year Annual Research Report
色素の光退色-光化学反応性と耐光堅牢度を結びつける試み-
Project/Area Number |
10680108
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Research Institution | TOKYO GAKUGEI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
生野 晴美 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80110732)
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Keywords | 色差 / 閾値 / 視感判定 / 青 / 黄 |
Research Abstract |
青色色素の水溶液中における光退色を色素量の変化とそれによって生ずる色の変化からとらえて相互の関係を明らかにすることを目的とした。青色色素の光退色生成物として黄色生成物を想定し、青と黄の両色素を比率を変えて混合したモデル退色水溶液について、L^*a^*b^*系表色値の測定から色の変化と色差を求め、視感判定から色差を識別できる閾値について検討した。 青色色素はAcid Blue 83、黄色色素はAcid Yellow 49を使用した。両色素を合わせた濃度を1×10^<-5>mol・dm^<-3>と一定にして、青1〜0.1に黄0〜0.9を混合した場合、黄の比率が増えると青みが次第によわくなるが、黄が0.8までは青みが残り、黄が0.9でようやく黄みを呈して淡緑色となった。明度指数L^*は61から93に上昇した。色素濃度の差0.1×10^<-5>mol・dm^<-3>に対する色差は6.3〜12.0で、黄の比率が増えるとともに増大し、色差が6を超えると色の違いを識別できた。 青の濃度を1×10^<-5>mol・dm^<-3>に固定し、その0〜5倍濃度の黄を添加した場合、測色では、黄の濃度が高いほど青みが弱まり、5倍濃度ではa^*とb^*がほぼ0、すなわち、色味が明瞭でないことを示した。明度指数L^*は61から59に低下したが、変化は小さかった。黄の濃度差0.5×10^<-5>mol・dm^<-3>に対する色差は8.9〜3.5で、黄の濃度が高いほど小さく、色差が4〜5を超えると色の違いを識別できた。目視による色相は、測色に使用するセル(光路10mm)中では、黄の濃度増加にともなって青みが徐々に弱くなり、5倍濃度では青みがほぼ消失した。一方、フラスコ(100 ml)中では、黄の添加で生じる緑みが強くなり、5倍濃度においても青みが感じられた。青の濃度を一定にして黄を5倍濃度まで加えた水溶液では、液量が目視の色相に影響することが見出された。
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