1998 Fiscal Year Annual Research Report
香りの心理・生理効果と生活科学および健康科学領域への応用
Project/Area Number |
10680122
|
Research Institution | Hiroshima Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
菅原 芳明 広島女子大学, 生活科学部, 教授 (30154462)
|
Keywords | エッセンシャルオイル / 香り / 作業 / 官能検査法 / 生理計測法 / リナロール / 光学活性リナロール |
Research Abstract |
当初の主たる研究目的は、ハーブなどの香油が我々の体にどのような心理・生理効果をもたらすのか等の客観評価法を確立することにある。 まず、香りの知覚変化に着目し、作業の視点を導入した官能検査法を新たに確立した。香りの印象評価はSD法(13の形容詞句の対からなる印象項目を設定、各々+5〜-5の11段階のスコア評価を実施)に基づいたが、以下に述べるように3種類の“作業"との関連で香りの印象を評価することを特色とする。被験者に課した“作業"は、内田・クレペリン精神検査に準拠した精神作業、踏台昇降運動、自然環境音聴取であるが、それぞれの作業前および作業後に上記官能検査を実施し、作業前後での香りの印象のスコア差を調べた。そして、次に13の印象項目それぞれについてそれらのスコアが真に変化したと言えるのか否かを、t-検定で判別した。その結果、(1)バジルは精神作業後香りの印象評価が上がるのに対して、リナロール、ペパーミント等では精神作業後評価が下がること、また(2)リナロールでは、環境音聴取後香りの印象評価が上がるのに対し、精神作業後は下がること等が分かった。そこで、このような印象傾向の“確からしさ"を印象項目全体に渡って符号検定で判別する一方、その“確からしさ"とその印象傾向とを同時に表示する手法(“官能評価スペクトル")を考案した。本年度は、さらに上記(2)のリナロールの印象変化について簡易脳波計(IBVA-EEG)等を用いた詳細な生理計測実験を行った。特に、IBVA-EEGに及ぼすリナロールの影響を見積もることから、リナロールの吸入と2つの作業との関連を検討すると共に、上記官能検査と生理計測との関連についても評価・検討した。現在、(R)-(-)と(S)-(+)-リナロールについて、官能評価スペクトルとIBVA-EEGデータに基づき、有香分子の光学活性構造と匂い知覚・匂い反応との関連に関する研究に着手した所である。
|
-
[Publications] Sugawara,Y.: "Perceived Fragrance of essential oiles in relation to type of work" J.Home Econ.Jpn.49・12. 1281-1290 (1998)
-
[Publications] Sugawara,Y.: "Sedatire effect on humans of inhalation of essential oil of linalool Sensory evaluation and physiological measurements using opticallyactive linalo" Analytica Chemica Acta. 365. 293-299 (1998)
-
[Publications] 菅原芳明: "皮膚温度計を用いた香りの生理効果" 日本味と匂学会誌. 5・3. 335-338 (1998)