1998 Fiscal Year Annual Research Report
高圧処理による野菜の硬化の機構の解明と硬さの制御の最適化
Project/Area Number |
10680140
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
香西 みどり お茶の水女子大学, 生活科学部, 助手 (10262354)
|
Keywords | 高圧処理 / 硬化 / 細胞壁 / ペクチン / 金属イオン / 水分 / ダイコン |
Research Abstract |
野菜を高圧処理した後に加熱すると、未処理に比べ硬くなる。この加圧による硬化は短時間の加圧処理後に常圧で放置することにより放置時間とともに進行する。本研究ではこの高圧処理による硬化の機構を解明するために細胞壁成分について検討した。 実験は1cm角に成形したダイコンを試料とし、室温で400MPa、10分間の高圧処理後、乾燥を防ぐため密封容器に入れ、常圧下20℃で0-24時間放置した。加圧試料および未処理試料の硬さ、水分および無機成分を測定した。また粗細胞壁としてアルコール不溶性画分(AIS)を調製し、さらに水溶性、ヘキサメタリン酸可溶性および塩酸可溶性ペクチンに分画し、各画分のペクチン量を測定した。 その結果、試料の硬さは加圧後の放置時間と共に増加し、このとき水分の変化はほとんどみられなかった。加圧および加圧後の放置により水溶性画分が減少し、ヘキサメタリン酸可溶性画分が増加し、塩酸可溶性画分は変化が少なかった。各画分のカルシウムおよびマグネシウムイオンを測定した結果、ヘキサメタリン酸可溶性画分の量がやや増加したが画分の濃度としては大きな変化はみられなかった。 以上の結果より、高圧処理による硬化には水分の移動が関与していないこと、細胞壁のペクチンにおいて2価の金属イオンと架橋結合した画分の割合の増加が寄与していると考えられた。さらにペクチン以外のの細胞壁成分も硬化に関与していると考えられる。
|