1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680143
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
岡田 美津子 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (70035400)
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Keywords | ビタミンB6 / ラット / 運動 / アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ / グリコーゲンフォスフォリラーゼ / グリコーゲン含量 |
Research Abstract |
運動に必要なエネルギーは筋肉グリコーゲンを消費することにより産生されるため,筋肉に如何にしてグリコーゲンを多く蓄積しそれをスムーズに利用するかは運動との関わりにおいて最重要事項である.グリコーゲンを蓄積するにはその素材であるグルコースを産生するためにアミノ酸が利用される.このためにはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)を主とするビタミンB6(B6)酵素がその働きを担う.また,グリコーゲンの利用はグリコーゲンフォスフォリラーゼ(GPase)によって行われることはよく知られており,これもまたB6酵素である.このようにグリコーゲンの合成分解の双方にビタミンB6が重要な役割を果たしているにも関わらず,運動の負荷とB6栄養の関連に関する研究は皆無に近い.そこで今回B6栄養を異にするラットを用いて運動(水泳)を負荷した場合にB6の代謝およびB6酵素の動態がどのように変化するかを調べる目的で実験を行った. まず,ラットを4群に分けて2群にはB6をほぼ必要量与え,他の群にはB6無添加食を投与し,それぞれ2群のうち1群を運動群(E),他を非運動群(NE)とした.運動は徐々に慣れさせた後,1日置きに60分間の強制水泳をさせた.このような状態で4週間飼育した後,血液,肝臓,心臓,腎臓,ひ腹筋(赤と白に分離)を採取し,B6含量,,ASTおよびGPase活性,さらにグリコーゲン含量を測定した.その結果,B6欠乏群ではB6添加群に比べて各組織のB6含量が減少していたが,EとNE間の差としては肝臓のPMPが運動で増加,逆に腎臓のPMPが減少していた.叉,B6添加群ではEの赤筋のPMPがNEに比して増加していた.E・NEまた,B6の添加・無添加を問わず赤筋のPMPが白筋に比べて高値を示した.上記のようなB6含量の差や変化はAST,Gpase活性にもある程度反映され,特に筋肉のGpase活性はB6欠乏群で著減しており,赤筋のグリコーゲンの分解障害が現れていた.しかし,白筋のGpase活性は元来赤筋に比して高値であり,B6欠乏でもなお,グリコーゲン分解に有効に作用していることが白筋のグリコーゲンの低値より証明された.
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