1999 Fiscal Year Annual Research Report
加工食品中の変性不溶化アレルゲンの消化酵素による再活性化の検証
Project/Area Number |
10680155
|
Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
加藤 保子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (10082356)
|
Keywords | アレルゲン / スキムミルク / β-ラクトグロブリン / 小麦加工品 / ペプシン / 不溶化 |
Research Abstract |
鶏卵を添加したパンやパスタを調製すると、卵白の主要アレルゲンであり、極めて安定性の高いオボムコイドは、変性・不溶化してIgEとの反応性を消失することを見いだした。このように変性・不溶化した卵白アレルゲンが消化酵素による部分加水分解によって、再活性化して食餌性アレルギーを誘発しないという確証を得るために、小麦粉との複合系における鶏卵アレルゲンタンパク質をペプシンを用いたin vitro消化を行ったところ、ドウの状態では抗原性が残存したが、パンや茹でたパスタの抗原性が著しく減少し、120分の消化でOMの抗原性は上澄、沈殿物共にほぼ完全に消失したことを確認した。今年度は、スキムミルク添加パンを調製して、牛乳の主要アレルゲンであるβ-ラクトグロブリン(β-LG)がパン調製過程で不溶化するかどうかの検討と小麦粉に対するスキムミルクの許容量を検討し、次のような結果を得た。 1.β-LGのPBS溶液を180℃のオーブンで30分加熱してもその抗原性はほとんど消失しなかった。 2.強力粉に対して28.5%のスキムミルクを添加したパンを調製し、ドウおよびパンから可溶性β-LGをPBS抽出した。ウサギ抗β-LG血清を用いた競争阻害ELISA法で、可溶性β-LG量を各調製過程で検討したところ、ドウの状態ではβ-LGは可溶性であったがパンに焼きあげると完全に不溶化した。小麦粉に対するスキムミルクの添加量を1:0.1,1:0,5および1:1としたパンを調製し、可溶性β-LG量を同様に検討したところ、1:0.5の添加量まではパンから可溶性β-LGはほとんど溶出しなかった。 3.パンとドウをペプシン消化し、上澄みと沈殿物のblottingを行ったところ、β-LGの抗原性は両者の120分の消化物から完全に消失した。
|
-
[Publications] 小澤慶子、加藤保子: "低アレルゲン化卵料理の調製"New Food Industry. 41・4. 63-70 (1999)
-
[Publications] Yasuko Kato et al.: "Ovomucoid Rendered Insoluble by Heating with Wheat Gluten but not with Milk Casein"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 64・1. 198-201 (2000)
-
[Publications] 小澤慶子,加藤保子 他: "加熱オボムコイド除去卵の調製法とアレルギー患者血清を用いたアレルゲン活性の評価"日本栄養・食糧学会誌. 53・2(in press). (2000)