1998 Fiscal Year Annual Research Report
栄養は食行動を制御できるか-糖尿病ラットにおけるマイクロダイアリシス法を用いての脳内神経伝達物質測定による検討-
Project/Area Number |
10680157
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
青峰 正裕 中村学園大学, 家政学部, 教授 (60091261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 孝子 中村学園大学, 家政学部, 助手 (70271434)
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Keywords | 自然発症型糖尿病ラット / マイクロダイアリシス / 神経伝達物質 / セロトニン(5-HT) / エタノール / トリプトファン / インスリン / 脳海馬 |
Research Abstract |
向こう三ヶ年にわたる本研究の初年度として、本年度の研究では、糖尿病ラットの脳海馬体の神経伝達物質のひとつであるセロトニン(5-HT)の平常時でのレベル測定と自発運動量(行動量)、並びにストレス負荷時のそれらに焦点を当てた。具体的には自然発症型糖尿病ラット(WBN/Kobラット・)を用いて、マイクロダイアリシス法による脳海馬の神経伝達物質のひとつであるセロトニン(5-HT)レベルと自発運動量(行動量)との関係を調べ、ストレス刺激やエタノール、インスリンの投与、5-FITの前駆体であるアミノ酸のトリプトファン(Trp)の投与による5-HTレベルの変化を、正常ラット(Wistar系ラット)の場合と比較し、以下の結果を得た。 1)約10週齢の糖尿病ラットの空腹時血糖値は正常ラットに比して有意に高値であったが、血清中インスリン値は正常ラットと殆ど差が無かった。2)糖尿病ラットの5-HTレベルは正常ラットに比して高い傾向にあり、暗期における行動量も約2倍多かった。3)両群ラットにストレス刺激としてTail pinch(尾つねり)を負荷した場合、正常ラットの5-HTレベルは有意に増加したか、糖尿病ラットのそれに変化はみられなかった。その後のエタノールの経口投与で、糖尿病ラットの5-HTレベルはTail pinch無しの正常ラットと同様、顕著に増加したのに対し、Tail pinch後の正常ラットの5-HTレベルに変化は観察されなかった。この原因のひとつとして糖尿病ラットにおける知覚神経異常の可能性か示唆された。4)両群ラットにインスリンを投与したところ、正常ラットの5-HTレベルは有意に上昇し、Trpの投写でも正常ラットの5-HTレベルは糖尿病ラッ1・よりも有意に増加したことから、糖尿病ラットの5-HT合成経路、もしくは異化経路の異常か考えられた。しかし、糖尿病ラットの5-HTレベルは正常ラットに比して高い傾向があったことから、後者の異常によって5-HTが脳内に蓄積した可能性が示唆された。
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