1999 Fiscal Year Annual Research Report
栄養は食行動を制御できるか -糖尿病ラットにおけるマイクロダイアリシス法を用いての脳内神経伝達物質測定による検討-
Project/Area Number |
10680157
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
青峰 正裕 中村学園大学, 家政学部・食物栄養学科, 教授 (60091261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 孝子 家政学部, 食物栄養学科, 助手 (70271434)
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Keywords | 自然発症型糖尿病ラット / マイクロダイアリシス / 脳海馬 / 神経伝達物質 / セロトニン(5-HIT) / ドーパミン / ニューロン / イオンチャンネル阻害剤 |
Research Abstract |
本年度の研究では、基礎的なデータを得るためにin vivoマイクロダイアリシス法を用いて、糖尿病ラット脳海馬体の神経伝達物質のであるセロトニン(5-HT)およびドーパミン(DA)の平常時でのレベル測定を求めるとともに、そのレベルへの種々のイオンチャネルの影響について調べた。糖尿病ラットとしては自然発症型糖尿病ラット(WBN/Kobラット)並びにストレプトゾトシン(STZ)誘発性の実験的糖尿病ラットを用い、正常ラット(Wistar)と比較した。5-HTとDAレベルへのイオンチャネルの影響については、透析灌流液中にイオンチャネル阻害剤を混入し、あるいは灌流液のイオン組成を変えて調べ、以下の結果を得た。1)糖尿病ラット脳海馬の5-HTレベルは低下しており、とくにWBN/Kobラットでは正常ラットの約半分であった。2)K^+チャネル阻害剤である^4-アミノピリジンで糖尿病ラットの5-HTとDAレベルは正常ラットより2〜4倍増加した。このことは糖尿病ラットにおける5-HTレベルの低下は少なくともシナプス小胞における5-HT量の枯渇に依るものでは無いことを示唆した。3)WBN/KobラットではNa^+チャネル阻害剤であるテトロドトキシン作用による5-HTとDAレベル減少の遅延が観察された。4)Ca^<2+>チャネル阻害剤であるべラパミルやCa^<2+>な除去溶液およびMg^<2+>添加溶液の作用下で5-HTとDAレベルは顕著に減少したが、正常ラットと糖尿病ラット間の有意な差は無かった。また、低K^+溶液作用下でも両者間に差はみられなかった。5)K^+チャネル阻害剤とNa^+チャネル阻害剤の結果から、糖尿病ラットとくにWBN/Kobラットではニューロンの膜のK^+チャネルの密度が増加していたためにK^+透過性の亢進がおこり、そのために5-HTレベルの低下が生じた可能性がある。
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