1999 Fiscal Year Annual Research Report
理科教師のプリコンセプションと教師教育プログラム・教授学習モデルの開発
Project/Area Number |
10680181
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
清水 誠 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (30292634)
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Keywords | 理科教育 / 教師のプリコンセプション / 教師教育 / 教授学習モデル / 子どもの学び / 社会的相互作用 / コーオペレーティブ学習 |
Research Abstract |
本研究は、学びにおける相互作用的な社会過程の問題に着目し、子どもたちの概念形成に重要な影響を及ぼしている教師が保持するプリコンセプションを解明し、子どもたちの素朴な概念を科学的な概念へと形成するための具体的かつ実践的な教授モデルの開発と教師教育プログラムの作成を目的としている。 本年度は、教師が保持する教授観、授業観、子ども観、科学観等について昨年度に引き続き質問紙により調査を実施し、その結果を分析した。教師が「思い込み」をしていたため理科授業の進行につまづいたとする内容を調べた結果からは、化学分野に集中していること、各内容が大きく9つに分類できること、その内容の中では子どもの技能や子どもの見方や考え方に対する思い込みが多い等のことがわかった。教授観・授業観の調査からは、教師は学習の主体を学習者の側に捉えているが、一方で実際の授業を計画するにあたって、中学校の教師は系統的に科学的知識を伝えることに重点を置いていること等がわかった。こうした授業観が形成される時期は、教職について5年以内という教師が最も多く、同僚の教師から学んだとする教師が多いことがわかった。初任教師の発達課題の一つである学級経営と授業を統合する標準的な手続きルーチンについて調べた結果は、年度当初に教師は定型化された学習行動だけでなく理科授業の進め方・学び方についても子どもたちにパターン化して指導していることがわかった。 また、学びにおける社会性や社会的相互作用を高める新たな指導方法としてコーオペレーティブ学習を理科の授業に導入し、その効果を分析した。その結果、教師が適切な支援をすれば、活発な相互作用を生み、学習への動機付けや情意面を高めること等に有効であることがわかった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 清水 誠: "コーオペレーティブ学習の導入に向けた理科グループ学習の見直し"埼玉大学教育実践研究指導センター紀要. 12. 61-69 (1999)
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[Publications] 清水 誠: "教師の授業観と理科授業"日本科学教育学会第23回年会論文集. 23. 315-316 (1999)
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[Publications] 清水 誠: "教師の思い込みと理科学習指導の課題"日本理科教育学会第49回全国大会岐阜大会要旨集. 38 (1999)
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[Publications] 清水 誠,島田 純江: "コーオペレーティブ学習と日本の協同的な学習の比較"日本理科教育学会第49回全国大会岐阜大会要旨集. 38 (1999)
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[Publications] 吉澤 勲,清水 誠: "コーオペレーティブ学習の理科授業への導入"日本理科教育学会第49回全国大会岐阜大会要旨集. 37 (1999)
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[Publications] 清水 誠,吉沢 勲: "理科学習へのコーオペレーティブ学習導入の効果"埼玉大学紀要教育学部(教育科学). 48・2. 71-86 (1999)
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[Publications] 清水 誠: "理科授業における学習ルール"日本理科教育学会第38回関東支部大会研究発表要旨集. 14 (1999)
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[Publications] 清水 誠: "生物領域指導場面での教師のプリコンセプション"日本生物教育学会第68回全国大会予稿集. 22 (1999)